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こんにちは、読書セラピストの井田祥吾(@shogogo0301)です。
「本を語る、人と繋がる」をテーマに札幌ゼロ読書会の運営をしています。
また、ブログ、SNSやポッドキャスト等の発信活動を通して、本の魅力や読書の素晴らしさを伝えています。
今回紹介する本は、門井慶喜さんの『定価のない本』(創元推理文庫)です。
2022年冬に三省堂書店 神保町本店で購入をしました。
作品の舞台は東京神田の神保町です。
本が好きな方なら一度は聞いたことがあるでしょう。
実際に多くの本屋さんで溢れています。
本好きならテーマパークに行くよりもたのしいのではないかと半分冗談ですが思っています。
作品の時代は戦後まもなくです。
古本屋の店主が不審な死を遂げます。
自殺なのか他殺なのか、はたまた事故なのか分かりません。
その事後処理をすることになった古本屋の店主が物語の主人公です。
戦後すぐなのでGHQが物語に大きく関わってきます。
戦後と戦前では天皇に対する考え方が異なります。
新しい歴史観を植え付けるためにとられた政策も多々あります。
それらによって日本人として本当に大切なものを失っていないかは考えなければいけません。
戦争自体を肯定するつもりはありません。
戦争を通しても続いてきた考え方そのものが悪いかと言われると必ずしもそうではないと思います。
本には思想が詰まっています。
それを渡し、なかったことにしてしまうと一つの思想がなくなってしまうことにつながりかねません。
印象に残ったところを紹介します。
いまの日本人はみんな、古典が読めるのは当たり前だと思ってる。
水が無料で飲めるようなものだって。
でも古典は、水とはちがう。
水のようにもともと『そこにある』ものじゃない。
誰かが明確な意志と、知識を以て、それにいくらか偶然の力も借りて、いっしょうけんめい努力しなけりゃあ『そこにある』ことは不可能なんだって
(中略)
つまり古典は『のこる』ものじゃない、誰かが『のこす』ものなんだ。
門井慶喜『定価のない本』(創元推理文庫)(p353〜354)
一言に本屋さんといってもいろいろな種類があります。
どれがいいではなくて役割の話です。
古本屋は作家の魂を扱う場所だと随筆で読んだのを思い出しました。
自分も本の良さを語り継ぐ一端を担うことができればと思います。