こんにちは、読書セラピストの井田祥吾(@shogogo0301)です。
「本を語る、人と繋がる」をテーマに札幌ゼロ読書会の運営をしています。
また、ブログ、SNSやポッドキャスト等の発信活動を通して、本の魅力や読書の素晴らしさを伝えています。
今回紹介する本は、高井浩章さんの『おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密』(新潮文庫)です。
以前、電子書籍で読んでいました。
文庫化されたのを機に再読をしました。
日経に勤められていた著者が自身の娘さんに書いた物語が元になっているとのことです。
小説仕立てで経済を動かす元になっているお金について学ぶことができます。
舞台は中学校です。
放課後のクラブ活動で「そろばん勘定クラブ」に入った二人の生徒と先生が物語の中心です。
お金を手に入れる方法は何があるかという話からそれに結びつく職業について考えていきます。
読んでいるとお金はうまく回っているのだなと感じます。
自分がどうやってお金を稼いでいるのか考えることも大事です。
一方で公共財を考えると自分が稼いだお金だけでは生きていないという事実もあります。
仕事の中には存在すべきではないけれども必要悪として存在しているものもあるということが挙げられていました。
職業に貴賎はなしとは言いつつもというところがあるのだと思います。
今の金利を考えると銀行に預けておけば安心ということはありません。
物価が今後上昇していくことを考えると、同じ金額に近い状態で取っておくということは相対的に価値が下がっていることになります。
新NISAも始まったことですし、お金との付き合い方はこれからも考えていかなければいけないと感じました。
それとは逆にお金が全てではないことも頭に残しておかなければいけないと思います。
お金がなくなったとしても生きていける道を考えていくことが資本主義経済の先にあるのではないかと思います。
表紙には既に「お金を手に入れる方法」の5個が箇条書きにされており、6個目だけ秘密にされています。
すっかり忘れていましたが、再読をして深く納得しました。
これがあるからこその資本主義経済であり、お金の役割なのだと感じました。
印象に残ったところを引用します。
お金というのは、この世に生まれ落ちた人々が編み出した知恵です。
それは、我々人間が似たもの同士で、同じようなモノに価値を認め合うという幻想に支えられている。
そして『つくる』という魔法でお金が円滑に回るには、人と人とが信じ合う、信用や信頼が欠かせない。
ワタクシは、お金というものは、人間が互いに支え合わないと生きていけない存在であるが故に生まれた、知恵の結晶だと思います。
高井浩章『おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密』(新潮文庫)(p286)
支え合うのが人間の本質であり、お金はそれを成り立たせるための道具であることを忘れずにいたいです。