こんにちは、井田祥吾(@shogogo0301)です。
読書セラピストとして本の魅力や読書の素晴らしさを伝えています。
また、「本を語る、人と繋がる」をテーマに札幌ゼロ読書会の主宰や人間学を学ぶ月刊誌である『致知』の読書会である北海道致知若獅子の会の世話人もしています。
今回紹介する本は、木内昇さんの『茗荷谷の猫』(文春文庫)です。
いわた書店の一万円選書のご縁で手にしました。
いわた書店は北海道砂川市にある街の本屋さんで一万円選書というサービスが有名です。
抽選に当たるとカルテと呼ばれるアンケートが送られてその回答をもとに1万円ほどの本を選んでくれます。
コツコツと読んでいますが、ちょうど折り返しくらいまできました。
本を選んでくれますが、「こういう意図があってこの本を選びました」というのはないので自分で意味を見出すのがなんだかおもしろいです。
帯のコメントもいわた書店店主の岩田徹さんです。
江戸時代から昭和にかけての市井を生きる人たちにスポットを当てた連作短編小説です。
何かを成し遂げたとか偉大な成果を残した人たちの話というわけではありません。
しかしそこにはそれぞれが何かに熱心に打ち込んでいたものや心を注いでいたものがあります。
もしかしたら生きていた証というのも忘れ去られてしまうのかもしれません。
それでもふとした瞬間に誰かの心にその人が生きていた痕跡というものが伝わるというか響く瞬間というものがあるのかもしれません。
生きた証を残そうとしてもそれがどうなるかわかりません。
もしかしたら何も残らないかもしれませんし、誰かとの何気ないたのしい会話も覚えておくことは不可能です。
それでも生きていくことは脈々と続く一本の道であり、自分が亡くなったあともそれは続いていく期待を抱いてもいいのかなと思いました。
こういうときだからこそ人との触れ合いやその人の心を感じることの大切さを考えることのできた一冊でした。