こんにちは、読書セラピストの井田祥吾(@shogogo0301)です。
「本を語る、人と繋がる」をテーマに札幌ゼロ読書会の運営をしています。
また、ブログ、SNSやポッドキャスト等の発信活動を通して、本の魅力や読書の素晴らしさを伝えています。
今回紹介する本は、増山実『勇者たちへの伝言 いつの日か来た道』(ハルキ文庫)です。
いわた書店の一万円選書のご縁で手にしました。
話のあらすじを紹介します。
ベテラン放送作家の工藤正秋が疲れて電車に乗っていると、「次は、いつの日か来た道」と空耳のアナウンスを聞きます。
何かに導かれれるように降りるとかつて父親と観に行った西宮球場での阪急ブレーブスの日にタイムスリップします。
その流れで父親から話を聞かされるところから話が進んでいきます。
父親に自分が未来からタイムスリップしてきたことを伝えようとします。
カラダは少年のままであり、これから起こるエピソードを話してもなかなか信じてもらえません。
なんとか信じてもらったところで父親は8歳の姿をした50歳の息子に秘密を告白します。
正秋の知らなかった女性の話をします。
その女性は在日朝鮮人でした。
北朝鮮に戻ると華やかな生活が待っているという話を聞きました。
わたし自身報道で北朝鮮の生活を見たことはありましたが、実際に帰った女性のものは想像を絶するものでした。
また、今はない西宮球場と阪急ブレーブスの選手たちの話が物語のなかで鍵を握ります。
テーマのひとつが「故郷とは何か?」というものです。
北朝鮮に渡った女性の手紙の中に、
「故郷」とは、きっと追い求めるものではなく、ふりかえったときに、「ただそこにあるもの」なのかもしれない。
増山実『勇者たちへの伝言 いつの日か来た道』(ハルキ文庫)(p324)
とあります。
さらに、
私はその、どことも知れない「永遠に漂う場所」を、「ふるさと」と呼びたいのです。
増山実『勇者たちへの伝言 いつの日か来た道』(ハルキ文庫)(p325)
とありました。
わたしは千葉県生まれですが、物心がつく前に北海道に引っ越してきたので記憶はありません。
だからといって千葉県が自分に関係のない場所だとは思っていません。
今は札幌に住んでいますが、それまでに住んでいた場所のほうが大切というのもありませんし、どちらも大切な場所です。
心の拠り所にしていたものに戻ったことで待ち受ける現実もあるかもしれませんし、憧れのままの方が良い場合もあるかもしれません。
報道で見たことはあっても実際は知らない世界なので心が痛くなるところもありました。
小説を通してであっても、知り、触れることができてよかったです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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また次回もお楽しみに!