今回紹介する本は、木下龍也さんの『オールアラウンドユー』(ナナロク社)です。
ジュンク堂書店でサイン本が置いてあり興味を持ちました。
木下さんの作品に触れるのは初めてでした。
学生時代の苦手科目は国語でした。
本を読むのは好きでしたが、どうもテストで点数を取ることができませんでした。
客観的に読み取ることができていなかったのだと思います。
主観が入って文章を読むことがよしとされていては点数をつけることができません。
大人になってからの読書は主観的に大事だと思うことに気づくことと、客観的に大切だと見抜く能力の両方が大切だと思っています。
詩を取り扱う授業のときは先生が解説する前と後ではその作品の持つ雰囲気が大きく変わるということが多くありました。
言葉がもつイメージをそのまま受け取るというのは簡単なようで案外むずかしいものです。
木下さんの作品はスーッと心に響くものがありました。
印象に残ったものを三首紹介します。
どんな色でも受け入れるために死はこれまでもこれからも漆黒
木下龍也『オールアラウンドユー』(ナナロク社)(p31)
わたしにとっても死は黒のイメージです。
それはカラフルなものも全て同じ色に染めてしまうからなのかもしれません。
たんぽぽに生まれ変わって繁栄のすべてを風に任せてみたい
木下龍也『オールアラウンドユー』(ナナロク社)(p40)
子どものころに公園でタンポポの綿毛を息で吹きかえて遊んだのを思い出しました。
たんぽぽからしてみると子孫繁栄のための一助になっていたのかなと想像をしました。
生きてみることが答えになるような問いを抱えて生きていこうね
木下龍也『オールアラウンドユー』(ナナロク社)(p74)
どうせ死ぬのになぜ生きるのか? は永遠の問いでもあります。
答えが出ないからといって生きるのをやめるわけにはいきません。
生が与えられている以上、死ぬまで生きるだけです。
素人目線ですが、わかりにくいというものはありませんでした。
楽しみながら読み進めることができました。