坪倉優介『記憶喪失になったぼくが見た世界』で、感覚を研ぎ澄ます

「本を語る、人と繋がる」をテーマに札幌で読書会を開催しています、本のチカラで癒しと安らぎを与える読書療法士の井田祥吾(@shogogo0301)です。

第56回「本の話をしよう」で紹介をした一冊について書いていきます。

この日、紹介したのは、坪倉優介さんの『記憶喪失になったぼくが見た世界』でした。

 

この本との出合いは札幌大通りのジュンク堂書店でした。

いつも通り1階から順番に散歩をするように本を眺めていました。

すると見かけたことがあるようなお名前と本のタイトルに惹かれました。

それがこの本だったわけです。

致知という月刊誌を購読していまして、2020年2月号でインタビュー記事が取り上げられていました。

読書会当日に本屋さんに行ったら、1階の目立つところに平積みされておりテレビでも最近取り上げられたようでした。

 

18歳の美大生だった当時、通学の際の交通事故にあい、意識不明の重体になりましたが一命を取り留めました。

10日の集中治療室を開けて目を覚ましたもののそこに待っていたのは、それまでの18年間の記憶をなくすというものでした。

記憶喪失と言われると、「ここはどこ? わたしはだれ?」というフレーズが思い浮かびますが、まさしくというかそれ以上でした。

両親のことや友人のことがわからないだけでなく、うれしい、悲しいといった感情やお腹が空いた、眠いといった感覚さえ失ってしまっていたのです。

こんな現実を突きつけられたら、わたしはいきていけるのだろうかと思いました。

心に残ったところを引用します。

母さんが、ぼくのまえになにかをおいた。けむりが、もやもやと出てくるのを見て、すぐに中をのぞく。すると光るつぶつぶがいっぱい入っている。きれい。でも、こんなきれいな物を、どうすればいいのだろう。

(坪倉優介『記憶喪失になったぼくが見た世界』p26)

なんのことかわかりますか?

記憶を失ってから「初めてお米を見た」様子です。

このような感覚はなった人にしかわからないものですね。

 

友だちも事故にあったことは知っていても、「覚えている?」と問いかけるわけで、記憶を失った坪倉さんが矢継ぎ早に質問をすることで相手の気分を害してしまったこともあったようです。

色々な経験をして学んだ、あたらしい過去が愛おしいと致知には書かれていました。

過去の積み上げで今があります。

そのことを感じながら今日を生きていこうと思います。

 

久しぶりにノンフィクションを読みましたがオススメです!

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