伊坂幸太郎『チルドレン』(講談社文庫)

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陣内がとにかくカッコいい。

過去に2回読んで読書メーターに記した感想です。

今回3回目になりましたが、その思いは変わらず「陣内さんカッコいい」です。

今回紹介する本は、伊坂幸太郎さんの『チルドレン』(講談社文庫)です。

 

大学生の生活を描いた『砂漠』で出てくた西嶋のような強烈さはありますが、タイプは違います。

メインキャラクターである陣内を取り巻く人々の視点で描かれています。

5つの短編から構成されていますが、時間軸がバラバラです。

家庭裁判所の調査官になっているときもあれば、試験のために勉強している時期もあります。

その時々で事件に巻き込まれたりするのですが、性格や行動は一貫しています。

それが格好よさに繋がっているのかもしれません。

 

家庭裁判所の調査官というのはあまり聞き馴染みのない職業かもしれません。

非行をした少年少女と面接をしてその後の処遇を決めたり、離婚調停の話し合いをして落とし所を決めたりといったシーンが出てきました。

他人の人生に関わるようでありながら「適当でいいんだよ」と陣内は発します。

それでありながら少年たちに慕われています。

上司からは「調査官に向いているけれどやり方を真似してはいけない」と評されています。

 

特に印象に残ったのが、後輩の調査官の武藤に「少年にこれを渡してみろ」と本を渡したことです。

その本は芥川龍之介の『侏儒の言葉』だったのですが、武藤はそのまま渡します。

すると後日の感想で、冊子が挟まっていたことを言われます。

それは陣内が自作した「侏儒の言葉 トイレの落書き編」というものです。

『神よりも紙を。そして髪も』

伊坂幸太郎『チルドレン』(講談社文庫)(p101)

など下らないものが収められています。

しかし、この本がきっかけに話が良い方向に進むだから陣内マジックと呼びたくなります。

 

渾身の一行はこちらです。

「少年の健全な育成とか、平和な家庭生活とか、少年法とか家事審判法の目的なんて、全部嘘でさ、どうでもいいんだ。俺たちの目的は、奇跡を起こすこと、それだ」

伊坂幸太郎『チルドレン』(講談社文庫)(p228)

ぜひ陣内の言葉や行動にハッとさせられしびれてほしいなと思います。

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