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こんにちは、読書セラピストの井田祥吾(@shogogo0301)です。
読書会の開催や発信活動を通して、本の魅力や読書の素晴らしさを伝えています。
今回紹介する本は、伊坂幸太郎『フーガはユーガ』(実業之日本社文庫)です。
伊坂幸太郎さんの作品は好んで読んでおり、いつかコンプリートしたいと考えています。
今作も大満足の一冊でした。
物語の中心人物は常盤風我と優我の双子です。
優我がファミレスでテレビディレクターである高杉にインタビューを受ける形で進められていきます。
この双子には特殊な能力があります。
それは誕生日に限り、二時間おきに入れ替わるというものです。
着ているものそのまま入れ替わります。
二人はこの現象に最初のうちは戸惑いがありましたが、だんだんとそれを利用して様々なことを企てていきます。
この双子自身もそうですが、環境に恵まれない人物たちが出てきます。
しかしその不遇を指をくわえてみているだけでなく、自分たちで打破していこうとうところに強さを感じます。
それは自分たちだけでなく周りの人たちも助けていくことになります。
伊坂幸太郎さんの作品が好きなところの一つは含蓄があるといいますか、心に残る教訓のようなものが得られることが多いところにもあります。
双子だから同じ進路を選ぶということはなく、学校を卒業して風我は働くことになります。
そのアルバイト先でお金を借りたいとオーナーのおばさんの相談をします。
そこで借りた金は「必ず」返すというと、こう返されます。
「風我、必ず、なんて言うな。必ずなんて断言できることはないよ。いつか人は死ぬ、ってことくらいなんだから。安易に使ったらいけない。わたしは、おまえを信用しているけれど、必ず守る、と口にした時点で信用しないよ」
伊坂幸太郎『フーガはユーガ』(実業之日本社文庫)(p143)
言葉には責任が伴います。
安易に断定はしないことです。
また、お金によって関係性が変わる可能性があります。
信用という関係性が変化することを覚悟のうえでお金の相談はするべきだと感じました。
先にも述べたように恵まれない環境下におかれた人物が多く出てきます。
ハッピーエンドであってほしいという感情のまま読み進めました。
最後にタイトルについて考えてみました。
双子の話ですが、『フーガとユーガ』ではありません。
それは二人でひとつの側面があるところがあると思っています。
入れ替わりという能力はひとりで発揮されることはありません。
1+1が2以上の力を発揮しているようにも感じました。
年の近い兄弟がいらっしゃる方、とりわけ双子の方には共感いただける部分があるのではないかと思います。
次の一冊
伊坂幸太郎作品にハマるきっかけになったのは『終末のフール』でした。
第一回目の読書会でこちらの本を紹介しました。
コロナ禍の閉塞感がなんとなく似ている気がしました。