伊坂幸太郎さんの作品を好んで読んでいます。
話の内容がスーッと入ってくるときと頭が混乱してしまうときがあります。
今回読んだ『777(トリプルセブン)』(角川書店)は正直にいうと後者でした。
そういうときは話の雰囲気を楽しむようにしています。
いわゆる殺し屋シリーズです。
今回はホテルの中での事件ですが、多視点で入れ替わりながら話が進んでいきます。
運がない殺し屋である通称「天道虫」はプレゼントを届けるだけの仕事を請けますが、事件に巻き込まれます。
そこには追われている抜群の記憶力を持った女性が登場してきます。
作品の雰囲気を楽しむのとは別の楽しみ方は心に刺さる言葉を探すというものです。
特に伊坂作品には哲学者や偉人の言葉の引用が使われることも多いので張り切ります。
今回もちゃんとありました。
「梅の木が、隣のリンゴの木を気にしてどうするんだよ」
(中略)
「梅は梅になればいい。リンゴはリンゴになればいい。バラの花と比べてどうする」
伊坂幸太郎『777(トリプルセブン)』(角川書店)(p170)
自分の良さを認識する前に周りの良さばかり目が行ってしまうことももしかしたらあるかもしれません。
視点をひとつ内側に向けて見ることも大切なのだなと思いました。
ちなみにわたしが主催の読書会で一番最初に紹介をしたのは『終末のフール』(集英社文庫)でした。
まだまだ未読のものが多いので読み進めていこうと思います。