伊坂幸太郎『サブマリン』(講談社文庫)

家裁調査官の陣内さんが今回も格好良かったです。

 

今回紹介する本は、伊坂幸太郎さんの『サブマリン』(講談社文庫)です。

前作『チルドレン』は短編集でしたが、今回は長編作品です。

家庭裁判所の調査官の武藤が語り手となって話が進んでいきます。

かつて一緒に働いていた先輩の陣内が主任となって幸か不幸か同じ組となってまた働くこととなります。

主任のポジションに就いたのを、

破天荒を売りにしていたアーティストが急に、人間ドックに通いはじめていたかのように思えた。

伊坂幸太郎『サブマリン』(講談社文庫)(p9)

と表現されています。

こういう伊坂節が好きです。

 

そもそもですが、家裁調査官はなじみのない職業かもしれません。

家裁調査官は加害少年たちと面接をします。

それをもとに処遇を決めます。

大人の裁判とは違うのは、非行改善や更生に向けての教育を主眼としているところであり、使われる用語も違っています。

「法を犯したので裁きます」と一辺倒ではないということですね。

物語の中心に据えられているのは無免許運転で事故を起こした19歳の少年です。

不幸にも両親も親友も交通事故で亡くしています。

そんな彼がどうして無免許運転をしたのか、亡くなった人の事情が分かればその解釈は許されるのか、このあたりはトロッコ問題のように簡単には答えが出せないことのように思います。

 

前作に引き続きやはり陣内さんは格好いいです。

少年たちに対しても部下の武藤に対してもとことん直球を投げてきます。

それは不器用とも違っていて、その言葉には誤魔化しが一切ないです。

途中遭遇した、立場の弱い子どもたちを事件に巻き込もうとした大人に放った言葉が印象的でした。

「全力で何かやれよ。全力投球してきた球なら、バッターは全力で振ってくる。全力投球を馬鹿にしてくる奴がいたら、そいつが逃げてるだけだ」

伊坂幸太郎『サブマリン』(講談社文庫)(p152)

こういう言葉にしびれました。

 

綺麗な伏線回収はまさしく伊坂ワールドでした。

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