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こんにちは、井田祥吾(@shogogo0301)です。
読書セラピストとして本の魅力や読書の素晴らしさを伝えています。
「本を語る、人と繋がる」をテーマに札幌ゼロ読書会の主宰や人間学を学ぶ月刊誌である『致知』の読書会である北海道致知若獅子の会の世話人をしています。
今回紹介する本は、伊坂幸太郎さんの『マイクロスパイ・アンサンブル』(幻冬舎)です。
猪苗代(いなわしろこ)湖で2015年から始まった音楽フェスで毎年配られていた冊子に載っていた小説をまとめたものとのことです。
部類としては連作短編集ということになります。
毎年配られて完成までに7年とはなかなか長期スパンですね。
続きが読みたくてこういう小説があると知ると待っていて首が長くなりそうです。
音楽フェスで配られていたということなので所々歌詞が引用されていたのが印象的でした。
二つの点で伊坂幸太郎作品らしいなと感じました。
一つ目は、複数の物語が並行して進んでいくということです。
全く関係のないような別ストーリーで進んでいく話がどういう風に終着を迎えるかはなかなかの見どころです。
また、あらゆる出来事が伏線として回収されていく様子にはなんとも気持ちの良さを感じます。
二つ目は、個人的なお気に入りポイントでもあるのですが哲学っぽい名言に出合えることです。
あくまで小説という人と人とが接する中で発せられる言葉ですが、そこに変なくささはなく心にストンと響く感覚がある言葉に出合えるのが伊坂作品を読んでいて好きなところでもあります。
もちろん言葉というのは文脈の中で成立するところがあるので、それを切り取ってどうでしょう? と評価するのは違うのかもしれません。
しかし、その文脈の中でいいなと思った言葉というものは自分の心の何処かにとどまって大切な想いとして残り続けるものだと思っています。
今回の一番印象に残ったのはこちらです。
「だけど、お金の多い少ないは関係なくて、そういう寄付をした人たちがみんな、ちゃんと幸せになればいいですよねえ」
伊坂幸太郎『マイクロスパイ・アンサンブル』(幻冬社)p170
何かに寄付をするということはとてもいいことです。
ですが一方で偽善だと揶揄する声もあります。
寄付した人がどうこう言われるのはなんだかモヤモヤとしてしまいます。
寄付先の出来事や人に向けられて行われた行為であり、それ以上のことはありません。
であるならば、外野は気にせずに寄付先と寄付した人の双方が良い気持ちになったり救われたらそれでいいのかなと思いました。