伊坂幸太郎『砂漠』(新潮文庫)

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こんにちは、井田祥吾(@shogogo0301)です。

読書セラピストとして本の魅力や読書の素晴らしさを伝えています。

「本を語る、人と繋がる」をテーマに札幌ゼロ読書会の主宰や人間学を学ぶ月刊誌である『致知』の読書会である北海道致知若獅子の会の世話人をしています。

 

今回紹介する本は、伊坂幸太郎さんの『砂漠』(新潮文庫)です。

 

先日、好きな小説のキャラクターを聞かれました。

悩みましたが、選んだのが今作に登場する西嶋でした。

 

大学生の生活を描いた青春小説です。

主人公は北村という青年です。

新入生のコンパで出会った鳥井には物事を俯瞰的に見る鳥瞰型だと指摘されます。

 

そのコンパで西嶋は遅れてきたと思ったらマイクを手に取り勝手に自己紹介を始めます。

べらべらと喋り最後には

「その気になればね、砂漠に雪を降らすことだって余裕でできるんですよ」(p19)

と発します。

小太りで不細工で不器用です。

ただいつだって目の前のことに対して真剣です。

とは言っても麻雀でひたすら平和という役でひたすら上がろうとしたり、後先考えずに保護期間ギリギリのシェパードを救ったりと普通ならできないやらないことも多数あります。

なりたいとも思えないし、近くにいたらそっと距離を置くような存在かもしれません。

だけれども心のどこかには西嶋のように熱い思いと正論をぶつけて冷ややかな目を向けられるような世の中はなんだかなと思ったりするのです。

 

大学生活というのは比較的自由な時間というのが多く存在する期間です。

クラスの中に東西南北を持つ人と鳥井とのグループで過ごす時間はなんとも奥ゆかしいものがあります。

私は病気で大学を中退したので戻りたいとは思いませんし、また受験に挑む気力もありませんでしたが、それでも学生生活を懐かしむこともありますし、その時に得た友人達を今でも大切に思っています。

 

ラストシーンで学長は

「学生時代を思い出して、懐かしがるのは構わないが、あの時はよかったな、オアシスだったな、と逃げるようなことは絶対に考えるな。そういう人生は送るなよ」(p533)

と言い切ります。

そして、

「人間にとって最大の贅沢とは、人間関係における贅沢のことである」(p534)

と付け加えます。

この小説を読んで懐かしい過去を振り返ることもあるかもしれません。

それが人間関係に起因するものであればいいですね。

 

また、タイトルを「砂漠」にしたところに粋を感じています。

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