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こんにちは、読書セラピストの井田祥吾(@shogogo0301)です。
読書会の開催や発信活動を通して、本の魅力や読書の素晴らしさを伝えています。
今回紹介する本は、保坂和志『書きあぐねている人のための小説入門』(中公文庫)です。
いつものように本屋さんを散歩していたところで見つけて購入をしました。
2023年の目標のひとつが何らかの表現活動に着手をすることだったので、小説はどうだ、という感覚で手に取りました。
著者の保坂和志さんは早稲田大学を卒業後、百貨店で勤務をされながら執筆活動をされていたと書かれていました。
1995年に『この人の閾』(新潮文庫)で芥川賞を受賞されています。
物語をどんどんと紡ぎ出せる方がこの世の中にはいるのが不思議なくらい、わたしは小説を自ら書くのとは遠い生活をしています。
夏目漱石の『夢十夜』を真似して夢の話を書き綴ろうかと思いましたが、それもなかなかうまくいきません。
今のところの結論はまだその時期ではないということです。
この本の内容ではありませんが、小説を書こうと思ったタイミングで一番印象的だったのは村上春樹さんです。
神宮球場で外野で寝そべって野球を見ていたところ、外国人打者がツーベースヒットを打って塁に到着したそのときに自分に小説が書ける、となったそうです。
話だけ聞くと意味がわかりませんが、もしかしたら小説というものはそういうものなのかもしれません。
小説の意義とは何なのでしょうか?
小説とは何か? の問いに筆者はこう答えています。
言葉(A)を使って言葉(B)では伝わらないものをつくり出すのが小説だということである。
保坂和志『書きあぐねている人のための小説入門』(中公文庫)(p22)
(A)を小説語、(B)を日常語と言い換えることができます。
また、小説語とは自分の内面から出てくる、身体性のある言葉でもあると触れています。
自分の内面から沸々と湧き上がってくるものを、そのままの言葉ではなく、書かれたものが小説なのかなとわたしは思いました。
思ったことをそのまま書けば、そのように伝わるかというと、なかなかそのように簡単にいうものではありません。
日常に潜む感覚を小説という方法を借りることによって遠回りのようでありながら伝わる感覚というものがもしかしたらあるのかもしれません。
先にも述べましたが、わたしはまだ小説を書く段階ではないのだと感じました。
日々いろいろなものに触れる中で内省を深め、その中でその思考を熟成させて発信したいと思ったタイミングで小説という手段があるということを忘れずにいれたら良いなと思います。
小説の書き方といったテクニックというよりは、そもそも小説を書く心構えの段階をレクチャーしていただいだ気分になりました。
保坂和志さんの作品も手に取ってみようと思います。