今回ご紹介する本は、はあちゅうさんの『「自分」を仕事にする生き方』(幻冬舎)です。
以前、電子書籍で購入して読みましたが、何度も読み返すうちに紙でも手元に置いておきたいと思い、単行本として購入しました。
著者のはあちゅうさんは、作家・ブロガーとして活躍されています。
身近に起こった出来事をコンテンツとして発信しており、そんな彼女の仕事論、そして人生論が詰まった一冊となっています。
そもそも、私たちはなぜ仕事をするのでしょうか?
「お金を得て生活するため」というのも、ひとつの立派な答えだと思います。
ただ、それだけではない気がします。
たとえば、ベーシックインカムが実現したとしても、働く人はいなくならないと私は考えています。
なぜなら、自分の存在意義を確認することで「生きている」と実感できる人が、少なからず存在すると思うからです。
それは、単純に「感謝されること」と言い換えられるかもしれません。
インターネット技術の発達によって、誰もが自由に発信できるようになりました。
それにより、感謝されることのハードルも下がったように感じます。
だからこそ今、「誰が」「何を言うか」が、より重要になってきていると私は思います。
「誰が」という部分では、肩書きが大きな意味を持ちます。
はあちゅうさんは「作家・ブロガー」という肩書きを用いています。
それは職業の優劣ではなく、分野の違いを意識してのこと。
たとえば「ライター」と紹介された場合には訂正を求めるそうです。
ブロガーとして名乗っているのは、自身がブログをきっかけに世に出たことを示す意味もあるようです。
私自身も、読書に関する活動を「読書セラピスト」という肩書きで行っています。
日本読書療法学会について知ったとき、「これこそが自分にぴったりの肩書きだ」と感じ、確認の上で使い始めました。
説明するときには「本の魅力や読書の素晴らしさを伝えています」と話しています。
本に関することを幅広くやっていきたいという思いから、この肩書きに落ち着きました。
はあちゅうさんは、「肩書きは志である」と本書で語っています。
確かに、その通りだと思いました。
仕事を通して何を実現したいのかを考えたとき、スープストックトーキョー創業者・遠山正道さんの言葉が印象に残ったので紹介します。
「5年あれば、誰かにとっての世界を変えられる」
はあちゅう『「自分」を仕事にする生き方』(幻冬舎)(p254)
私が読書会を始めてから、2025年4月で8周年を迎えます。
もしかしたら、それが誰かの生活の一部になっていて、なくてはならない存在になっているかもしれません。
そうであってほしいとも思っています。
それは、私が読書会をやっていなければ、その人にとってまったく別の人生だったかもしれず、ある意味「世界を変えた」と言えるのではないかとも思います。
今や、インターネットの力で誰もが発信できる時代になりました。
そんなこれからの時代の生き方や働き方を考えるうえで、本書はぴったりの一冊です。
発信をどうしたらよいかわからないという方にとって、マインド面からそっと背中を押してくれる内容になっています。