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今回紹介する本は、ワタナベアニさんの『カメラは、撮る人を写しているんだ。』(ダイヤモンド社)です。
逆説的なタイトルが気になるところかと思います。
著者のワタナベアニさんはアートディレクターとして活動されていましたが、40歳を超えて自分は指示を出す側よりも最前線で撮りたいことに気づき写真家へとなりました。
これから本格的にカメラで写真を撮ろうというカズトと師匠となったロバートの対話形式で話が進んでいきます。
これまでに写真を撮ったことがない人というのはそうそういないと思います。
携帯電話、スマートフォンの登場で誰でも気楽に写真が撮れるようになり、共有できるようにもなりました。
写真は他の芸術とは異なり、下手でも成立すると書かれています。
成立ししまうからこそ「いいね」がたくさんもらえるといい写真が撮れたという勘違いも生まれてしまいます。
また高いカメラを買えば良い写真が撮れるという誤解もあります。
考えてみれば想像がつくことです。
高い包丁を買えば料理が上手になるわけではないですし、100円の色鉛筆を使っていた人が1000円のものを使うことで筆力が上がるわけではありません。
しかし、どうも写真の世界では良いカメラが良い写真を撮れるという誤解があります。
高いスペックにこだわる方がいらっしゃるのも事実でSNSで写真を眺めていると機材を記載しているのを目にすることがあります。
これも考えてみると何だか違和感があるところです。
良いカメラがあれば良い写真が撮れるという誤解から、写真を撮ることを趣味でやっていくのとそれを職業としてやっていくことは違うこと、どういう心構えで向き合っていくかについて書かれています。
技術的な話というよりはスタンスについて書かれているので主なターゲットはこれから本格的に写真を趣味、仕事にしていきたい人といったところだと思います。
わざわざ撮りたくない写真を撮る人はいないと思います。
自分のスマホのカメラロールをみてこれは不快な気分になるけどとっておこう、なんてことはないと思います。
撮ることは自分が何をみて反応したかの記録なのだと感じました。
何を撮るかを選んだ自分がそこにいるところが、タイトルにつながってきます。
それまではアートディレクターをしていたワタナベアニさんは写真家になりました。
それまでの経験が生きていたと語っています。
それをスライド理論と呼んでいます。
何かの分野で学んだことは他の分野でも生きてくるということです。
『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』(ポプラ社)の幡野広志さんは写真以外の趣味をもつことをお勧めしていますが、そういったところにもつながってきます。
ワタナベアニさんが仕事に対して誇りを持っていることが伝わってきます。
「好きな仕事をするという幸福な選択は誰にでも可能である」と言います。
写真を撮ることを学ぶことを通して仕事観についても考えることができました。