村上春樹『街とその不確かな壁』(新潮社)

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こんにちは、読書セラピストの井田祥吾(@shogogo0301)です。

読書会の開催や発信活動を通して、本の魅力や読書の素晴らしさを伝えています。

 

今回紹介する本は、村上春樹『街とその不確かな壁』(新潮社)です。

 

村上春樹さんの最新作となります。

1980年に文芸誌で発表した『街と、不確かな壁』を核としリメイクされた作品です。

「根っこから書き直せるかもしれない」と思ったのが2020年ということで40年が経過しています。

そこまで同じことに打ち込むことができるのは脱帽です。

 

ノーベル文学賞の結果に一喜一憂するハルキストでもなければ熱心な村上主義者でもないので、作品そのものを深く論じることは今のわたしにはむずかしいです。

書くことを「地下二階」に潜ると表現されているように、自分がどこまで村上さんと同じような感覚に行っているかは分かりません。

けれども読んでは手を止め、頭の中をぼんやりと眺めながら考えている自分がそこに存在していることは感じています。

 

ひとつのテーマとして感じられたのが現実と非現実の関係性です。

わかりやすいところでいうと寝ているときにみる夢です。

奇妙な夢を見ると夢占いを調べる方もいるのではないでしょうか?

現実とは思えない状況でも夢を見ているその瞬間というのは受け入れて行動しているのがなんとも不思議な感じがします。

夢の中で夢だと気づく明晰夢をみたことがないので、モヤモヤとした感じが残ることがあります。

 

現実世界とは別の高い壁に囲まれた街で、他の人の夢の記録を読む〈夢読み〉をする様子が描かれています。

別の世界があるというのに違和感がある方もいらっしゃるかもしれません。

小説のファンタジーと割り切ってしまえばそれまでですが、そうとは言い切れない感覚があります。

光があれば影ができます。

影があれば実体が存在していることになります。

影と実体はふたつでひとつであり、そのことを疑う人はいないはずです。

 

影がない世界、または実体がなくなり抜け殻になってしまうことはあるのでしょうか?

今生きているこの世界が絶対で他の世界が存在しないと言い切れるのでしょうか?

夢の世界というのはひとつの世界です。

夢には記憶の整理という側面があることはよく聞きますが、まだまだわからないことがたくさんあります。

夢は自分の内面世界のようであるものの正しく解釈できるのはなかなかむずかしいものがあります。

 

夢ではなくても今はWEB3の時代の到来と言われ、仮想現実やメタバースを耳にすることが多くなってきました。

例えば、現実世界で体に不自由があり動くことができない人が、ネット上では自由に動き回り行動していたとするとどちらの世界が本当の姿とは言えなくなるのではないでしょうか?

 

村上作品は特に読みながらも考える余白が多く感じます。

ストーリーを知ったところで大した意味はないようにさえ思えてしまいます。

同じように読んだ人と感想を交えてみると面白そうだなと感じました。

 

⭐️印象に残ったところ⭐️

彼はどうやら内容のいかんを問わず分厚い本が好みのようだった。

きっと薄い本では物足りないのだろう。

食欲の旺盛な人が、店でいちばん分厚いステーキを注文するのと同じことだ。

村上春樹『街とその不確かな壁』(新潮社)(p458)

村上さんと言えば比喩や例えが印象的です。

今作でわたしのいちばんはこれでした。

何が現実であり、何が現実ではないのか?

いや、そもそも現実と非現実を隔てる壁のようなものは、この世界に実際に存在しているのだろうか?

村上春樹『街とその不確かな壁』(新潮社)(p587)

本文も触れた部分の核心だと思っています。

夢の世界は非現実のようでありながら現実の一部なのだと感じました。

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