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こんにちは、読書セラピストの井田祥吾(@shogogo0301)です。
読書会の開催や発信活動を通して、本の魅力や読書の素晴らしさを伝えています。
今回紹介する本は、岸田奈美『飽きっぽいから、愛っぽい』(講談社)です。
『小説現代』2020年9月号から2022年9月号に収められたエッセイです。
著者の岸田奈美さんとは同い年です。
noteのマガジンを定期購読していますが、笑わせてもらい時にはうなっています。
その言葉遣いを味わっていると、真似はできないけれども好きという感じがします。
豪速球を投げるというよりは軌道がわからないナックルボーラーという印象をわたしは持っています。
こちらの一冊は文芸誌に収められていますので、文章に固さを感じました。
だからといってらしさを失っているわけではないので安心して読んでいただいて大丈夫です。
岸田さんの文章の根底には愛があります。
お父様を早くに亡くし、お母様が車椅子ユーザーであり、弟さんがダウン症というこれだけ聞くと大変そうな家庭環境です。
それでも家族や周りの方を大切にする愛をわたしは感じました。
それは好きでたまらないというものではなく、ありふれたものを大切にするやさしさに似ているのかなと感じました。
⭐️印象に残った文⭐️
毎日は、終わりの連続でできている。
ただ、目に見えないから、考えようとしないだけで。
終わりは止められない。
でもせめて、終わりをきちんと仕舞うか、そのへんに捨てるかは、わたしだけが選べる。
岸田奈美『飽きっぽいから、愛っぽい』(講談社)(p107)
寝る瞬間というのは1日の終わりです。
あくまでも何時だからというのはきっかけでしかありません。
時間を決めて寝ることもできますが、最終的にどこで区切るかは自分次第です。
明日の自分に課題を残して寝るかも、やり切って寝るかも、どちらがよいわるいではなく、自分次第なのだと気づきました。
未来を考えないことが、明るく生きる武器になることもあるのだ。
現在を見る。
この瞬間を見つめて、ただ、待つ。
意志を持って過ごしてきた時間は、すべてを解決してくれると、わたしは思う。
岸田奈美『飽きっぽいから、愛っぽい』(講談社)(p135)
ベストを尽くすことは大切です。
今の自分が置かれた環境は過去の自分が積み上げてきたものです。
どうしても未来のことを考えると今よりも楽観的になります。
今の自分というのは過去の自分にとって未来の自分です。
意志をもって生活していくことがより良い未来につながると感じました。
「岸田さん。全部の物語に、むりやり教訓をつくらなくていいんだよ」
岸田奈美『飽きっぽいから、愛っぽい』(講談社)(p265)
わたしも文章を書いているとついつい為になることを盛り込まなきゃと考えていたことに気づきました。
自分に対する制限をひとつかけるごとに表現されるものの幅がひとつ狭くなるのかなと考えました。