吉本ばなな『キッチン』(角川文庫)

こんにちは、読書セラピストの井田祥吾(@shogogo0301)と申します。

「本を語る、人と繋がる」をテーマに、札幌ゼロ読書会の運営をしています。

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今回ご紹介する本は、吉本ばなな『キッチン』(角川文庫)です。

2025年1月20日に課題本読書会を開催しました。

そのときの課題本です。

以前にも読んでいましたが、こうして読んだ感想を交わすことで深まる理解があることを感じました。

 

まず印象的なのは人物関係です。

唯一の肉親である祖母を亡くしたみかげに一緒に住まないか、と誘ったのはその祖母がよく通っていた花屋の青年である雄一でした。

その雄一の母親であるえり子さんは元父親でした。

元父親の母親という人物設定をデビュー作で取り入れるというのはとんでもないことのように私は思います。

 

えり子さんが母親になろうとしたのも、雄一がみかげに声をかけたのも決断です。

もちろんみかげがこれからどう過ごしていこうか考えていくのも決断です。

私たちは生きていく上で大きさはまちまちであっても決断の繰り返しです。

それらが今の私を形作っているのだと感じました。

その部分が言語化されているところを少し長いですが引用します。

人はみんな、道はたくさんあって、自分で選ぶことができると思っている。選ぶ瞬間を夢見ている、と言ったほうが近いかもしれない。私も、そうだった。しかし今、知った。はっきりと言葉にして知ったのだ。決して運命論的な意味ではなくて、道はいつも決まったいる。毎日の呼吸が、まなざしが、くりかえす日々が自然と決めてしまうのだ。

吉本ばなな『キッチン』(角川文庫)(p134)

意識もしないような小さな決断が進む道をつくっているのかもしれませんね。

 

『キッチン』というタイトルが話題にあがりました。

キッチンでの話はそこまで多くありませせん。

参加者さんが、キッチンはみかげにとって安心できる場所であり、自分が自分のままでいられる場所の象徴ではないかという話をされておりなるほどなと思いました。

 

よしもとばななさんの文章はこれぞという一文に線が引きにくいです。

それは文章全体としてのリズムがそうさせているのかなと思います。

多くの人にこの小説の世界観を味わってほしいなと思います。

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