私が主催している札幌ゼロ読書会も参加される方々の大切な居場所になったらいいなと思いながら読み終えました。
今回ご紹介するのは、朝倉かすみさんの『よむよむかたる』(文藝春秋)です。著者の朝倉かすみさんは初読みの作家さんでした。北海道小樽市出身とのことでした。作品の舞台も小樽市となっています。ところどころ、登場人物に北海道弁が見られて何だかほっこりとしました。
古民家のカフェで開かれる読書会が物語の舞台となっています。読書会の名前は「坂の途中で本を読む会」です。読書会の形式としては課題本を代わりばんこに朗読して、それに対するフィードバックと内容に対する考えを述べていくといったものでメンバーは固定です。月に一度開催しており発足から20年が経つということで記念冊子を作り、公開読書会を催そうと計画が進められていきます。
参加者の平均年齢は85歳ということで様々な問題が発生します。それでも「また来月!」と集まることができる環境があるのはとても素敵なことだと思いました。
この小説のように課題本読書会であっても、本を紹介する読書会であっても本がなければ読書会は始まりません。かといって本があれば必ず成立するかと言われるとそのようなことはないと思っています。本を媒介として話すからこそ、普通に話す以上のことがわかることがあるのではないかと思っています。私も読書会をしてきて色々な方の話を聞いてきました。プライベートなことを話していなくても、それを直接話す以上の何かを得ることができているのではないかと思います。
この小説を読んで改めて読書会っていいなと思いました。11月からは課題本読書会もスタートさせます。札幌ゼロ読書会自体の規模を大きくしようとは今のところ考えていません。それでもこれからもずっと続けていきたいと思っています。2017年スタートなので7年が経過しました。50年を目標にこれからもまずは自分が楽しむことを忘れずに良い本と人の出会いのきっかけをつくれたらなと思います。