今回ご紹介する本は、佐川光晴さんの『見えなくても王手』(実業之日本社)です。
MARUZEN & ジュンク堂書店 札幌店で平積みしているところを見つけました。
タイトルと装丁に惹かれて購入をしました。
私は小学生のときに将棋に夢中になっていた時期があります。
NHKの将棋講座のテキストを購入し、記譜を並べながら自分なりに研究をしていました。
その甲斐もあって市の将棋大会でも二度優勝することができました。
中学生になってからは部活と勉強のほうに力が入り、将棋をすることはなくなりましたが、この年になってまたやりたいなという思いがわいています。
盲学校に通う少年が新たに赴任した先生から将棋を教わりメキメキと上達していくお話です。
棋力が高い人は盤と駒がなくても将棋ができると言います。
頭の中でイメージすることができるということです。
将棋では対局後に感想戦といってお互いの手を振り返ります。
そのときに「あの場面から」といってすぐに盤面を再現することができます。
目の見えない人もそうなのだろうかと思っていました。
実際は目の見えない人のための将棋盤と駒があるということでした。
触って確認することができますが、指すたびに盤面を触って一から確認するわけにはいきませんので頭の中でイメージしておくことも大切です。
次に何もしなかったら王が取られますよというときに発する王手ですが、通常では必須ではありません。
ただ、目の見えない人とやる場合にはいうのがルールとのことです。
私の近くには目の見えない人がいません。
街中でたまに白杖を持った人をお見かけするくらいです。
きっと目が見える私とは違った感覚で世界を捉えているのだと思います。
将棋は目で確認することができたほうが思考はしやすいのかもしれません。
それでも年齢も視覚も関係なく互角に同じ条件で戦うことができるボードゲームです。
作品のなかに棋力向上のためのオリジナル手法があります。
盲学校に赴任した先生がどうして将棋を取り入れようと思ったのか。
目の見えない少年が将棋にどんどんのめり込んでいく姿は読んでいて心が温まるものがありました。
また将棋を再開しようかなと思います。