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本好きの方なら新刊が出たら迷わず買うという本の類があると思います。
わかりやすい例で言えば雑誌や漫画がそうです。
小説でもお気に入りの方は立ち読みせずにさっさとレジに持っていくことが多いかと思います。
最近になって出版社でもそういうことがあるなと気づきました。
わたしにとってのそれは夏葉社で刊行される本です。
代表の島田潤一郎さんがひとりでやっている出版社です。
大手とは違い年間で見ても数を多く出版しているわけではありません。
また復刊を多く手がけているのも特徴です。
一冊一冊をていねいにつくられている印象も受けられ、読み終わり本棚に収めても存在感があります。
今回紹介する本は、片岡千歳さんの『古本屋 タンポポのあけくれ』(夏葉社)です。
先に述べたような復刊であり、箱に入っています。
かつて高知県にタンポポという古本屋さんがありました。
そこで働いていた片岡さんが新聞に掲載していたエッセイが元になった一冊です。
古本屋さんの視点から見えてくる世界を感じることができてよかったです。
わたしが特に印象に残ったのは古本の扱いです。
本好きな方は収集欲が旺盛な方が多いかと思いますので、家に大量の本があるという場合が多いかと思います。
何かのタイミングでそれを手放すことになるかもしれません。
本人としては大量にあるものを引き取ってもらえたらいいと「お金は要らない」と言うことがあるかと思います。
それに対して、片岡さんは
私は「本に対して失礼ではないか」と心のうちで言っている。
片岡千歳『古本屋 タンポポのあけくれ』(夏葉社)(p212)
とあります。
こう続きます。
古本屋は本の捨て場ではないのだから、自分の意志で手に入れた本を、お金が要らないなら、友人なり知人に差し上げたらいいと思う。
破れた靴下を捨てるのとは、本の場合違うのではないかと言いたい。
片岡千歳『古本屋 タンポポのあけくれ』(夏葉社)(p213)
確かにその通りだなと思いました。
自分の意志で手放した本が古本屋さんをきっかけにまた新たな人に必要とされると思うとなんだかワクワクします。
一時期は蔵書整理で本を手放すことをしていました。
ある時からやめました。
それは一度読もうと思った本は人生のどこかで必ず必要になると思ったからです。
読んで感動した本だけでなく、積読になっている本、読みかけて挫折した汗や読んだけど結局イマイチだった本などどれも必要とする可能性があります。
そういうときに手に取ることができないことは機会損失でしかありません。
そう思うようになってから意志なしに手放すことはなくなりました。
多くの本に書き込みやドッグイヤーをするのも売れない理由のひとつです。
本によってはきれいにしておきたいと感じるのもあるのでそのようなときは付箋紙を貼っています。
この本は付箋紙を貼りました。
本屋さん、特に古本屋さんという環境が好きな方に手にとってほしい一冊です。