東野圭吾『マスカレード・ゲーム』(集英社)

今回紹介する本は、東野圭吾さんの『マスカレード・ゲーム』(集英社)です。

刊行されている東野圭吾さんの作品は全て読んでいますが、今回もハズレなしで楽しませてもらいました。

 

映画化もされている「マスカレード」シリーズの最新作です。

映画でいうと主演を木村拓哉さんと長澤まさみさんが務められています。

わたしの脳内では木村さんのようなイケメンではないのでギャップがあるところですが……

 

「マスカレード」シリーズの舞台は、コルテシア東京というホテルが舞台になっています。

過去作品でもホテルでの事件が予想されそれを防ぐために警察官がホテルのスタッフに扮して潜入捜査を行うというものです。

当然ながらホテルスタッフとしているわけでそのことを一般客に知られるわけにもいかないので、スタッフとしてあるべき姿を指導されてなんてこともあります。

 

物語は連続して殺人事件が起こったことから始まります。

被害者はいずれも過去に事件を起こした人たちでした。

その過去の事件での被害者の遺族たちがコルテシア東京に宿泊することがわかりました。

複数が集まり、自分の家族の加害者を代わりがわりに殺人をしていくという「ローテーション殺人」を企てているのではないかと検討をつけて操作を進めていきます。

過去の経験からホテルとのスタッフとしての役割やできることを把握している陣頭指揮をとっている新田ですが、そこには事件解決のためなら少々強引な手段を選ばない女性刑事の梓がいます。

そこにアメリカからヘルプのために帰ってきたホテルマンの山岸がからみ話は進んでいきます。

 

大きく3つの事件があり、それらが絡み合っていきます。

複雑なようであって最後はちゃんと回収してくれますので、流れるように読んで問題はないかと思います。

 

ミステリーとして純粋に楽しむことができますが、話の流れとは別に何か考えることを与えられるのも東野作品の特徴だと思っています。

もし自分が犯罪被害の遺族となったら加害者にどんな心情を抱くのでしょうか。

もしかしたら極刑を求めること、自分の手で罰を下すことでは収まらない感情がそこにはあるのかもしれません。

こればっかりは分かりません。

逆に、もし罪を犯したとしてその自覚がないという状況だったらそれをどう思うのか。

仮の話ではなんとも言えませんが他人事ではなく考えるべきことなのかもしれません。

読書会情報

読書会の情報は お知らせ をご覧ください。

募集の案内はLINEでも行っています。

月初に読書会情報を配信しています。

申し込みはLINEからお待ちしています。



LINEの友だち検索「@pgc8174h」でも出てきます。

LINE オープンチャットへのご参加はこちらからどうぞ!

ポッドキャストでも本の紹介をしています

書いている人


若林正恭『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』(文春文庫)

2022年4月に読んだ本

関連記事

  1. 嘘をついている人を見破れるか?

    推しの作家さんはいらっしゃるでしょうか?わたしは東野圭吾さんの作品が好き…

  2. 東野圭吾『真夏の方程式』で、夏を感じる。

    「本を語る、人と繋がる」をテーマに札幌で読書会を開催しています、本のチカ…

  3. 東野圭吾『秘密』〜秘密にしたい名作〜

    札幌で「本を語る、人と繋がる」をテーマに読書会を開催しています、本のチカラで…

  4. 古くなることを恐れない

    今回紹介する本は、東野圭吾さんの『ブラック・ショーマンと覚醒する女たち』(光…

  5. 東野圭吾『架空犯』(幻冬舎)

    今回ご紹介するのは、東野圭吾さんの『架空犯』(幻冬舎)です。東野圭吾さん…

  6. 東野圭吾『秘密』で、「二転三転大逆転」。

    2020/05/04にZoomを使って第6回ビブリオバトルを開催しました…

  7. 東野圭吾『マスカレード・ライフ』で作家としての気…

    今回ご紹介する本は、東野圭吾さんの『マスカレード・ライフ』(集英社)です。…

  8. 東野圭吾『希望の糸』

    札幌で「本を語る、人と繋がる」をテーマに読書会をやってます、井田祥吾(@sh…

PAGE TOP