湊かなえ『未来』(双葉文庫)

こんにちは、読書セラピストの井田祥吾(@shogogo0301)と申します。

「本を語る、人と繋がる」をテーマに、札幌ゼロ読書会の運営をしています。

また、ブログやSNS、ポッドキャスト等の発信活動を通して、本の魅力や読書の素晴らしさを伝えています。

 

今回ご紹介するのは、湊かなえ『未来』(双葉文庫)です。

20年後の自分から手紙が来た少女の話から始まります。

未来の自分に手紙が届くのかもと思い、30歳の自分への書いていきます。

 

『未来』というタイトルからとても明るい話をイメージしていました。

湊かなえさんといえば、イヤミスというワードを生み出し、代名詞となりました。

あと味のイヤな感じのミステリーの略です。

告白』も衝撃でしたが、個人的には『リバース』もイヤミス作品ではお気に入りです。

一方でそのイメージの先行が強すぎると感じたこともありました。

その反動かとても明るい作品を書かれることもある印象を受けていました。

それが良くないこととはもちろん思いませんでしたが、苦しい期間を過ごしたこともあったのではないかと想像します。

 

一人称小説だから描ける生々しさというものを感じました。

20年後の自分から手紙をもらった少女の書簡体形式から始まりますが、登場人物は変わってきます。

一人称視点だと誤解や考えが強く出るところも魅力だと思います。

 

家庭環境はさまざまであり、学校の生活だけではわからないところもあります。

学校の先生はクラスのこと全体をみる責任があったことを考えるとなかなかです。

家庭の貧困が今作品のテーマになっています。

今の世の中ですので家族構成も多様化しています。

何かひとつのパターンに当てはめてこうだから幸せとは言い切れないところがあります。

 

もちろん人には言えないこともありますし、本人にしかわからない抱えた悩みというものもあります。

自分の生活水準が実際どのくらいのものかはわかりませんし、他人の生活を体験することはできないのでどうも言えません。

それでも他人の想いを感じ取り、声としてあげることはできます。

それによって誰かから指を差されることもあるのかもしれませんが、そうしないと話は先に進んでいかないのかなと思います。

明るいだけが未来ではありませんが、未来が誰にとっても明るいものであるようになってほしいと淡い期待を抱く作品でした。

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