浅倉秋成『六人の嘘つきな大学生』(角川文庫)

今回ご紹介するのは、浅倉秋成さんの『六人の嘘つきな大学生』(角川文庫)です。

読書会での紹介を受けて購入しており、積読にしてました。

再び紹介を受けましたので、これを機に読むことにしました。

 

IT企業の就職最終面接に残った大学生六人に与えられた課題はディスカッションでした。

内容次第では全員に内定を出すということだったので事前に協力をして準備を進めていきました。

しかし直前になって採用できるのは一名であることが告げられます。

しかも選ぶ方法はディスカッションをして全員の合意のもと一名を選ぶというものでした。

2時間半のディスカッション時間で30分ごとに採用されるに相応しい者を投票していくことになりました。

そのまま進んでいくかと思いきや、会議室に不審な封筒が見つかります。

その封筒の一つを開封するとそこには過去の汚点とも言えるような評価を揺るがす告発文が書かれていました。

この告発文の封筒をきっかけに事態は急変していきます。

 

誰がこの「封筒」を用意したのかというところが物語の焦点です。

波乱はありましたが、内定者は一人しっかりと決まっています。

後になってから犯人は誰だったのかというインタビューを挟みながら話は進んでいきます。

 

私は就活らしい就活をしていないので実際のところはわかりません。

どんな手段を使ったとしても就職したい企業があれば手を尽くすというのが本音だと思います。

しかし演技や繕っている部分があったとしてそれを企業が見抜くことはできるでしょうか?

逆に優秀な人材を採用するために企業が誇張している部分がないとは言えるでしょうか?

実際にその場で働いてみないと、働いてみてもらわないとわからない部分は多いものだと思います。

選ぶ側にとっても選ばれる側にとっても大事になってくるのは誠実さなのだと思いました。

 

誰が封筒を用意した犯人なのかというストーリーの軸はもちろん楽しめました。

就活を通して双方が考えるべきことはあるのではないかということを突きつけられた気持ちになりました。

「嘘をつかないことが正直ではない」のかもしれませんね。

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角田光代『タラント』(中公文庫)

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