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今回ご紹介するのは、角田光代さんの『タラント』(中公文庫)です。
読友さんからご紹介を受けまして購入しました。
青い背景に走り高跳びをしている女性が印象的な表紙です。
角田光代さんの長編小説を読むのはこれが初めてでした。
物語の主人公は山辺みのりです。
彼女が大学生の頃、卒業した頃、現在(2020年頃)の話が並行して進んでいきます。
最後にうまく重なり合うという感じです。
大学生の頃にボランティアサークルに参加をします。
意義を感じつつもこれでいいのかと疑問を感じることがありました。
大学を卒業してからの難民キャンプへのスタディーツアーに参加した際のある出来事がみのりの心に深く残ることになります。
現在の様子としても菓子店で働きながらポジションを与えられようとするとそれを避けるように行動する場面が見られます。
表紙になっている高跳びのシーンですが、みのりの祖父が東京に泊まりにくることが関係しています。
友達に会いに来たというだけでしたが少しずつ真相が明らかになっていきます。
みのりが貧しい地域に行っていたことと祖父が体験した戦争が絡み合っていきます。
小説を読んでいるとタイトルはこれしかないというものが多々あります。
この小説も「タラント」がとてもしっくりきます。
詳細は読んで確かめていただきたいところです。
印象に残ったところを紹介します。
重大な決意なんかじゃない、目標もゴールもない、ただ、ふっと、やってみようかなと思っただけだ。やってみようかな、だめだったらそのときはそのとき。軽い気持ちだからこそ、立ち上がることができる場合もある。そしてそれほど軽い気持ちでも、それがなければ、物事はけっして動き出さない。何も変わらない。
角田光代『タラント』(中公文庫)(p551)
自分がやるべきことというのは仕事や私生活に限らず必ずあると思います。
違うと思ったら引き返すのもありだと思ったうえで、とりあえずやってみるという姿勢が大切なのだと感じました。
500頁を超える長編ですが読みやすい筆致でした。
異なる時系列で進んでいきますが混乱もありませんでした。
ぜひ手に取ってみてください。