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今回紹介する本は、影山知明さんの『ゆっくり、いそげ カフェからはじめる人を手段化しない経済』(大和書房)です。
いつかカフェをやってみたいなぁという夢があります。
それは飲食で利益を立てて店をまわすというよりは本好きが集まるコミュニティのような場所であり、今も続けている読書会の延長のようなものです。
「人を手段化しない経済」という考え方はとても参考になりました。
飲食店経営される方はもちろんですが、サービス業に従事される方に役に立つ一冊ではないかと思います。
タイトルの『ゆっくり、いそげ』はラテン語のことわざです。
日本語で言うと「急がばまわれ」がぴったりです。
目的地への到達を急ぐのであればあるほど、むしろ目の前のことをていねいにするのがよいということですね。
今の世の中は資本主義経済のもとで成り立っています。
異論を唱えたところでそれがすぐに変わることはないでしょう。
では、何もできることはないのかというとそのようなことはなく、お金を介してもののやり取りをする心構えを変えることはできます。
お金を手に入れる(Take)ではなく、受け取る(Given)ための道具と著者の影山さんは唱えています。
サービスを受け取っているという感を少なくしているのが世の中の自動販売機化と表現されているのも印象的でした。
確かに、自動販売機からものが出てきて「ありがとう」の気持ちは飲食店で直接の提供される感覚は薄くなってしまいます。
そこには自動販売機に補充をする人やそもそもそういうシステムを考えた人たちがいるにも関わらずです。
効率ばかりを追い求めてしまうのは人間らしさ自体を失ってしまう行為なのかなと思いました。
目の前の人に集中して喜ばせて、お互い感謝の気持ちをもてる状態を創っていくことが大切なのだと改めて感じました。