「どうすればよかったか?」を問い続ける

今回ご紹介するのは、藤野知明『どうすればよかったか?』(文藝春秋)です。

2024年12月にシアターキノで同タイトルの映画を観ました。

こちらの一冊は、そのドキュメンタリー映画の裏側まで描かれた一冊です。

 

苦労しながら医学部に合格して通っていた、面倒見のいい姉に統合失調症の陽性症状が見られました。

救急車で搬送されましたが、翌日父と一緒に自宅へと帰ってきました。

弟である知明さんは父の説明に不可解な点があると感じながらも、何かできるわけではありませんでした。

それから両親は、姉を病気ではないとしながらも、自宅に閉じ込めるようになりました。

 

そのお姉さんが医療を受けられるようになるまで、25年かかりました。

映画の中でもその様子が記録されており、治療をうけるようになってからはそれまでとは見違えるように回復していました。

その結果や、現在から過去を振り返ると『我が家の25年は“失敗例”です。」とおっしゃるのは納得できます。

でも、自分が同じような立場であったとして、「正解」の行動を取ることができるかどうかはまた別の話だと思います。

 

藤野さんは姉の様子がおかしいと感じながらも、統合失調症の人が身近にいたわけではないので、どういう状態なのかわからずにいました。

また両親が医療関係者ということもあり、立場上、強く言えないところもあったと思います。

 

時代が違うと当然世間からの目も異なります。

医者であったお父様は、きっと自分の手で娘さんを世間の目にさらすことなく、回復させたかったのだと思います。

その感覚自体は何も間違っていないと思います。

だからこそ「どうすればよかったか?」という問いがずっとついてくるのだと思います。

 

私は大学3年生の春に体調を崩しました。

睡眠時間が極端に短くなり、他人に攻撃的になりました。

私の場合、結局入院が必要なレベルまでになり、統合失調症と診断されました。

 

『ブラックジャックによろしく』を読んでいたので、統合失調症のことを知っていました。

知っていたのに、自分がなるのだと不思議な感覚にもなりました。

すぐに服薬治療や作業療法が始まり、何より家族のサポートもあり、回復していきました。

後から知ったことですが、精神疾患は診断をつけることに慎重です。

その診断をつけることにより、人生が左右されることがあります。

私の場合もその例により、在学できなくなり大学を中退しました。

どうすることもできなかったので後悔はしていません。

でも、何かできることはあったのかなと今でも思っています。

 

「精神疾患」とはいいますが、「脳のトラブル」でもあると思っています。

本来であれば意図していない行動をとってしまったことにより、傷つけ、距離を置くことになった知り合いもいます。

それを弁明するチャンスさえなくなってしまったこともあります。

 

健康な人も含めて、正しい認識が必要です。

現在の私は双極症と診断が変わり、服薬治療は続けていますがフルタイムで働いています。

気分の波は多少ではありますが感じながらも、一人暮らしを送っています。

 

そのような自分が伝えられる何かがあるかなと思い、これからも発信を続けていきます。

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