芥川龍之介『蜘蛛の糸・杜子春』(新潮文庫)

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こんにちは、読書セラピストの井田祥吾(@shogogo0301)です。

読書会の開催や発信活動を通して、本の魅力や読書の素晴らしさを伝えています。

 

今回紹介する本は、芥川龍之介『蜘蛛の糸・杜子春』(新潮文庫)です。

 

古典作品を積極的に読んでいくのを今年の目標にしています。

新刊本は刊行されてすぐに読みたくなり、また今読まなければと思うのですが、いつでも読めるものはついつい後に回しがちです。

 

どの作品から読もうかと考えた結果、誕生日が3月1日で同じ芥川龍之介作品を中心に読んでいます。

以前、『文豪ナビ 芥川龍之介』(新潮文庫)を手にとったのもあり、新潮文庫で読んでいます。

 

今回の『蜘蛛の糸・杜子春』に収められているのは年少文学と呼ばれるものとのことです。

童話というより少し上の世代向けに書かれたといった感じでしょうか?

前回の王朝物に関してはわたしが歴史苦手なこともあり、なかなか苦労をしました。

今回は読みやすい作品が多く、背景やそこに込められたメッセージまで思考を巡らすことができました。

表題作ふたつに対して感想を述べていきます。

多少のネタバレを含みますのでご注意ください。

 

作品を読んで、人間の本質について考えたのですが、完全な人間というのはいないということです。

『蜘蛛の糸』は地獄の落ちた男が主人公の話です。

たくさんの悪さをしてきたため地獄に落ちたのですが、悪いことばかりでなく生きている間に蜘蛛を救ったことがありました。

そのことから救いの蜘蛛の糸が降りてきます。

これで地獄から脱出できると登っていくのですが、ある考えと言動によってプチンと糸が切れてしまいます。

悪人といえども100悪いわけではければ、救われるチャンスはある。

しかしそれすらも私利私欲に任せてしまうと救われるものも救わないのだなと感じました。

 

『杜子春』では、暮らしに対する構え方を考えさせられました。

裕福な暮らしをしていたが貧乏になると皆そっぽを向いたようにいなくなる男がいました。

頭が影になっているところを掘ると財宝が手に入ると教えてもらい裕福な暮らしができるようになりますが、また貧乏になると皆は見向きもしなくなります。

繰り返すうちに財宝はいらない、弟子にしてほしいと財宝のありかを教えてくれていた師匠に言い、その修行の条件が一切喋らないことでした。

 

とにかく黙秘を続けていたのですが、あることをきっかけにぽろっと言葉がもれてしまいます。

とにかくしゃべるなという言いつけを守っていたらどうなっていたでしょうか?

またその一連の経験を通して杜子春が求めた暮らしというのはこういうものでした。

「何になっても、人間らしい、正直な暮しをするつもりです」

芥川龍之介『蜘蛛の糸・杜子春』(新潮文庫)(p76)

0か1のどちらかに振り切れることというのはなく、その中で折り合いを見つけていくことなんじゃないかと思います。

また自分らしいでなく、人間らしいと言ったのも生き方の本質を突いているような気がします。

 

芥川龍之介作品は短編が多く主題もわかりやすいものが多いです。

すぐに読めるものも多いのでお気に入りが見つかるかと思います。

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