今回ご紹介する本は、三木清さんの『人生論ノート』(新潮文庫)です。
岸見一郎さんの『ゆっくり学ぶ』(集英社)を読んでいた際に度々引用されているのを目撃しました。
円錐書店で購入したのが積読になっているのを思い出し、手に取りました。
読後調べてみると西田幾多郎氏やハイデッガー氏に師事とありました。
お二人の名前は聞いたことがあるくらいではありますが、日本や世界を代表する哲学者の一人と言って問題ないのかなと思いました。
こちらの一冊は同タイトルで雑誌に連載されていたものがまとめられたものです。
戦前に書かれたものもあるので個人の幸福について書かれたところに関しては目をつけられることもあったようです。
戦後に爆発的なヒットを迎えたとのことでした。
哲学は難しく考える印象があります。
この本の内容も言葉そのものは難しくはないのですが、抽象的な話が多く正直つかみにくいところがありました。
そういうときはまた読みたくなることを期待してそっと置いておくようにしています。
本を選ぶ際に読みやすいことを重視してはいるものの、すぐに理解できないものがいけないということはありません。
何度か読んでみることで得られるものというのがきっとあるはずです。
そういう香りを残してくれている本は手放さずに残しておくようにしています。
案外その判断が難しいところがあるのは事実ですが。
なので今回もいいなと思った言葉に付箋紙を貼りチェックしました。
せっかくなのでいくつか紹介してみようと思います。
鳥の歌うが如くおのずから外に現われて他の人を幸福にするものが真の幸福である。
三木清『人生論ノート』(新潮文庫)(22頁)
幸福というものは自己完結するものではないのだと思いました。
機嫌が良いとその影響は周りの人にも影響を及ぼします。
大勢の人がいる場に行くと空気として感じられる印象に近いと思います。
それはその中心としている人が発しているオーラに集まるみたいなところもあるのかもしれません。
他人への影響だけでなく、その人の所作にも心の動きというものは現れるものだと感じました。
何が自分の為になり、何が自分の害になるか、の自分自身の観察が、健康を保つ最上の物理学であるということには、物理学の規則を超えた智慧がある。
三木清『人生論ノート』(新潮文庫)(93頁)
ベーコンの言葉を引用していました。
健康は各自で考えることによって成り立ちます。
誰かにとってストレスになることが、他の人にとってはストレス解消になることがあります。
同じストレスを浴びてもそれをどう感じるかはその人次第のところはあります。
なのでどういうことが自分にとってプラスに働き、マイナスに作用するのかを知っておく必要があります。
歳を重ねることによってわかってくる部分もありますが、それを知るのは早い方がいいです。
私自身は双極性障害と付き合いながら生きていますが、10年近くになりようやくわかってきたところもあります。
ここの表現で物理学という言葉が使われたのが意外な感じがありました。
先ほどにも書きましたが読みやすい一冊では正直ありませんでした。
でも、ところどころになるほどと思わせる言葉がありました。
そういう珠玉の言葉に出合うのも本の魅力かなと思います。
ちょっと日常生活に活かすポイントが見つかるだけでもいいのかもしれません。















