今回ご紹介する本は、渡邉雅子さんの『論理的思考とは何か』(岩波新書)です。
書籍要約サービスflierで読み、興味を持ち、購入しました。
何を言っているのかわからないと言われるのは当然傷つきます。
そのため、論理的に物事を伝えられたほうが良いに決まっています。
ただ、この「論理的」という概念には唯一無二の正解があるわけではなく、国や文化、あるいは目的によって使い分けられることがわかりました。
形式によっては、ある場では評価される一方で、別の場では評価の対象にすらならないことも起こり得るのです。
国語嫌いには珍しいのかもしれませんが、私は感想文を書くことを苦手とは感じませんでした。
小学生の頃から読書感想文を楽しんで書いており、賞を取ったこともありました。
しかし、高校生になり、小論文を書く機会があった際には、自分のスタイルに合っていなかっただけなのかもしれないと感じました。
読書感想文や行事感想文を書くという習慣は、戦後教育から始まったそうです。
唯一絶対の教育から、個々の意見を尊重する方向へと変化していきました。
ただ、その中で社会や周囲とのバランスを取るために、共感を媒介として道徳形成がなされるようになったのです。
引用します。
感想文を書くことは、読解の一連の体験を通した読みの変化や獲得した価値観、思いもよらなかった他者の価値観を内省的に振り返らせる機能を持つ。
渡邉雅子『論理的思考とは何か』(岩波新書)(p120)
とあります。
感想文は、単に出来事を羅列するだけではなく、それが自分とどう関わり、今後どのように影響を与えていくのかを内包した形式なのだと感じました。
読書会での発表も、同様の要素を持つものだと感じました。
本に何が書いてあるのかは、いくらでも調べることができます。
しかし、なぜ自分がその本を紹介しようと思ったのかに重きを置くことが大切です。
その視点を忘れず、これからも感想文の執筆や読書会での発表に取り組もうと思います。