池澤夏樹『スティル・ライフ』(中公文庫)

今回紹介する本は、池澤夏樹さんの『スティル・ライフ』(中公文庫)です。

以前、Facebookグループで本の書き出しである「まくら」でお気に入りのものを教えてもらいました。

そこには投稿されませんでしたが後日の読書会で紹介していただいたのがこちらの作品でした。

今作品で池澤夏樹さんは芥川賞を受賞されています。

池澤さんは北海道出身で現在は札幌に住まれていると聞いています。

何かどこかでご縁があればと淡い期待をしています。

 

その冒頭を紹介します。

この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。

世界はきみを入れる容器ではない。

池澤夏樹『スティル・ライフ』(中公文庫)(p9)

の書き出しから始まります。

世界と自分は独立した存在であります。

もし自分に良いこと嫌なことがあってもそれとは関係なしに世界は動いています。

逆に世界でどのような激動があろうと自分までもが影響を受ける必要はないのかもしれません。

 

染色工場でアルバイトをしている「ぼく」はある日、大ポカをして上司からこっぴどく叱られます。

そのミスをかばってくれたのが佐々井です。

そこからバーで飲むようになり、仲を深めていきます。

仲を深めるといっても思い描くような仲良しになる訳ではなく、バーで話をするくらいの関係性です。

ある日、佐々井からアルバイトを三ヶ月ほど休んで仕事を手伝ってほしいと言われます。

ぼくはそれを了承します。

株の取引をすることになりますが、どこから用意した資金なのかと不明なところがあります。

最後にはクリアになりますが、なんとも不思議な雰囲気の人物だったという感想を持ちます。

 

自然現象と科学を結びつけてその中間で話が進んでいく感覚になりました。

雪に関する表現が印象的でした。

雪が降るのではない。雪片に満たされた宇宙を、ぼくを乗せたこの世界の方が上へ上へと昇っているのだ。

池澤夏樹『スティル・ライフ』(中公文庫)p32

川の流れをたどるようなそんな感覚で雪を感じることができたら面白いのかもしれません。

読書会情報

読書会の情報は お知らせ をご覧ください。

募集の案内はLINEでも行っています。

月初に読書会情報を配信しています。

申し込みはLINEからお待ちしています。



LINEの友だち検索「@pgc8174h」でも出てきます。

LINE オープンチャットへのご参加はこちらからどうぞ!

ポッドキャストでも本の紹介をしています

書いている人


今野華都子・文 中尾早乙里・画『はじめて読む人の「古事記」』(致知出版社)

第127回 札幌ゼロ読書会「本の話をしよう」

関連記事

  1. 三越デパートをテーマにしたアンソロジー

    今回紹介する本は、『時ひらく』(文春文庫)です。辻村深月…

  2. 『うつせみ』を読んで考える、外見の美しさについて…

    今回ご紹介する本は、紗倉まなさんの『うつせみ』(講談社)です。2024年…

  3. 荻原浩『海の見える理髪店』(集英社文庫)

    こんにちは、読書セラピストの井田祥吾(@shogogo0301)です。「…

  4. 朝井リョウ『正欲』(新潮文庫)

    こんにちは、読書セラピストの井田祥吾(@shogogo0301)と申します。…

  5. 手紙を通して思いを伝える

    今回ご紹介する本は、森沢明夫さんの『水曜日の手紙』(角川文庫)です。&n…

  6. 学校で学ぶのは勉強だけじゃない

    今回ご紹介する本は、山田詠美さんの『ぼくは勉強ができない』(新潮文庫)です。…

  7. 朝倉かすみ『よむよむかたる』(文藝春秋)

    私が主催している札幌ゼロ読書会も参加される方々の大切な居場所になったらいいな…

  8. 立川談四楼『ファイティング寿限無』(祥伝社文庫)…

    こんにちは、井田祥吾(@shogogo0301)です。読書セラピストとし…

PAGE TOP