今回ご紹介する本は、岡田悠さんの『むすんでほどく』です。
前回に続けて、岡田さんのエッセイです。
ですが少し毛色が違います。
エッセイというよりもむしろ研究です。
私たちは何かを伝えようとするときにまず一番頼るのが言葉だと思います。
私はこうして文章で本の感想を伝えています。
わざわざ文章にしなくても話すことで伝えることもできます。
そのときにも言葉を介して行なっています。
言葉を介しないで何かを伝える方法というのも、もちろんあります。
わかりやすい例でいうとジェスチャーがあります。
相手にニコッと親指を立てればGoodの意味になります。
音楽も言葉を介しないコミュニケーションですよね。
もちろん受け取り方は相手次第かもしれませんが、気分を落ち着けたり、感動させたりすることができます。
と色々と伝える手段はあるのですが、今回この本で岡田さんが上げているのが「縄」です。
古代には縄を使って物事を伝える文化があったそうです。
「結縄(けつじょう)文字」と言うそうです。
かつての日本の倭の国時代にもその文化はあったそうです。
しかし解明には至っていません。
そんな中、岡田さんは南米・インカ帝国の結縄「キープ」に注目します。
インカ帝国は超多民族・多言語の国であったため、視覚的・構造的に記録できる表現として生み出されたとのことです。
そのキープのデータを生成AIを使って読み解こうと試みます。
その過程で岡田さんは独自の読み方を発案していきます。
生成AI技術の発達には目覚ましいものがあります。
昔であればわざわざ図書館に行って、調べたいことが書いてある本を探すところから始まっていました。
検索エンジンによって調べ物の負担は格段に減りました。
それでもいくつものサイトを横断しなければいけないことが多々ありました。
最近では私は調べ物をするときに主にChatGPTに質問形式で投げかけています。
それで理解できれば十分ですし、わからなかったり方向性が違う場合は追加で質問をして理解を深めていきます。
これほどまでに質問に対して的確に答えてくれるのに、生成AI技術に意思がないというのが私は意外に思っています。
どういう仕組みで動いているのかはわかりません。
よく言われるのは推論モデルで次に来やすい言葉を並べているというものです。
なので、今回のキープのようなものでもデータを収集できればある程度何かしらのパターンは見えてくるのだと思います。
それでもAI技術が与えてくれるのは、パターン性があるということまでであり何かを伝えようという意思があるわけではないということです。
縄のねじれの方向や結び目の位置から伝えたい情報の性質を伝えることはあっても、そこから何を読み解くのかは人間次第ということになります。
縄で伝えるというのはとてもシンプルだと思いました。
また、機密情報だったとしてもほどくのがすぐなので処理も簡単なのではないかと思いました。
一般的に技術はどんどん進歩していく方向に考えられていきます。
でも果たして本当にそれが幸せなのかはわからないところがあります。
どれだけ言葉を尽くしたって誤解されることはあります。
キープのような要素を伝えて物語を相手に委ねるという方法のほうが案外ストレスフリーで誤解もないのではないかと思います。
いずれにせよ、どこまでいっても完璧なコミュニケーションというものは存在しないんだろうなと思います。
岡田さんの遊び心が詰まった一冊だと感じました。















