けらえいこ『あたしンち SUPER 第2巻』(朝日新聞出版)

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今回紹介する本は、けらえいこ『あたしンち SUPER 第2巻』(朝日新聞出版)です。

 

雑誌『AREA』に掲載されていたものです。

『あたしンち』はかつて朝日新聞の日曜版に掲載されていました。

わたしが知ったきっかけは小学生の頃にテレビアニメが始まったことでした。

高校2年生のみかん、九州出身の両親と弟のユズヒコのタチバナ家を中心に人々の交流が描かれている作品です。

漫画は巻数が増えると収納スペースをとるので最近は電子書籍で購入することが多いですが、『あたしンち』は変わらずに紙媒体で読んでいます。

 

ストーリー重視の漫画は登場人物が成長していきますが、タチバナ家は年を取りません。

それでも社会環境に合わせて描かれる内容は変わっていきます。

以前と違うのは話の中にスマートフォンやYouTubeといったテクノロジーが出てくるというものです。

 

『あたしンち』の一番の魅力は「共感」なのかなと思っています。

今回特に印象に残ったところに付箋紙を貼っていくとすべてユズヒコが主人公のものでした。

中でも印象に残ったのを2つ紹介します。

 

「#38 視力検査」の話です。

ユズヒコは視力検査は最後見えなくなって終わるので「負けた感」があると言います。

それに対して同級生の石田は勝負(ギャンブル)だと言います。

見えなくなってもなお、勘で方向を指し示すのはついついやってしまいます。

両方わかるなぁと思いつつ、わたしは前回の視力検査でギャンブルをして片目を1.2を出しました。

 

もうひとつは「#41 父の言葉」です。

ユズヒコと散歩をしていた父は「植物は偉いな」と言います。

いったん生えたら、ずっとそこにいて花まで咲かせる存在に目を向けていた父を、哲学的だとユズヒコは思い返していました。

ある日有名な本からの引用かと思ったことを母に伝えると、結婚当初から言っていたということを聞き、父を見返すという話です。

どんなに経験を積もうと生きている間に親が過ごしてきた年数を超えることはありません。

自分という歴史をそっくりそのまま見てきた存在として教わることってまだまだたくさんきっとあるのだろうなと思いました。

 

過去作を読んでもおもしろいですし、どこから読んでもおもしろいです。

タチバナ家の考えること、内省的な要素がわたしにはとてもしっくりときているように感じました。

朝日新聞時代の『あたしンち』のベスト盤も全10巻出版されていますのでぜひ手にとってみていただけたらなと思います。

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東野圭吾『魔女と過ごした七日間』(角川書店)

武田双雲『「ありがとう」の教科書』(すばる舎)

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