池谷裕二『夢を叶えるために脳はある』(講談社)

こんにちは、読書セラピストの井田祥吾(@shogogo0301)です。

「本を語る、人と繋がる」をテーマに札幌ゼロ読書会の運営をしています。

また、ブログ、SNSやポッドキャスト等の発信活動を通して、本の魅力や読書の素晴らしさを伝えています。

 

今回紹介する本は、池谷裕二『夢を叶えるために脳はある』(講談社)です。

池谷裕二さんが脳科学の講義を高校生にしたものがもとになった一冊です。

三日分の講義ということで700頁ほどのボリュームがあります。

最後まで楽しみながら読み進めることができました。

池谷さんの本は数冊読んだことがあります。

難しいことを分かりやすく教えてくれる印象です。

 

「脳講義シリーズ」の完結編となっています。

話自体は独立していますので、こちらから読んでも特に問題はありません。

脳の基本的な仕組みから不思議なところ、最近話題となっている人工知能、そしてこれからの世界に向けての話をされています。

 

コンピュータの発達によって新たにわかったことというものがたくさんあります。

例えば、四色定理というものがあります。

地図上の色は4色あれば塗り分けることができるというものがあります。

この問題の解決方法は地図のパターンを洗い出し、それらひとつひとつを塗り分け可能であることを示すというものでした。

その示し方に問題はありませんが、どうやっての部分は理解できないでしょうし、力で押し切る感じはスマートではないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。

ルービックキューブの必勝法もこのパターンで、パターンのすべてを覚えるという結論に至ったそうです。

人間にとって分かるという感覚と、コンピュータが解いたものが納得できる感覚というものは違うのかもしれませんね。

 

人工知能に関する話も面白かったです。

馬に乗れるようになっても、車が発明されても人が走れる速さを競う競技はなくなっていません。

ゼロコンマ何秒で早くなれるかとしのぎを削っています。

将棋や囲碁の世界ではコンピュータの世界が強いと言われています。

研究のために棋士たちは利用しています。

上は上へと目指す楽しさもあると思います。

最後は人間の手によって物事がなされる楽しさもあるのかもしれません。

そこには不完全さというものがあると感じました。

 

人工知能に感情があるのかという話も興味深かったです。

条件を与えるとどんどん学習していく様は人間そのものです。

何かあったときにぷつりと電源を切ることは許されるのでしょうか?

機械だからと割り切ることもできるかもしれません。

しかしそれが簡単に許されるということは、未来人が我々を観察しており、急にこの世界が終わるのと同じ状況という発想が面白かったです。

データに感情が生まれるという点ではポケモンのゲームをやっていて一緒に行動するポケモンに愛着がわく感覚と似ているのかなと思いました。

 

科学的な観点からも「楽しく生きる」「ご機嫌に生きる」というのは大切なことだそうです。

池谷さんの教授室の上には「知好楽」が掲げられています。

これは、論語に由来する言葉です。

知識があるだけの人は、好きでやっている人にはかなわない。

好きでやっている人は、楽しんでやっている人にかなわない。

という意味です。

論語を毎日素読するなかで特に好きな部分でもあります。

あらゆることを楽しんでやっていくことを大切にしていきます。

 

人工知能はどんどん発達していますが、我々ひとりひとりが持っている脳のポテンシャルというものも計り知れないものがあると感じました。

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