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こんにちは、読書セラピストの井田祥吾(@shogogo0301)です。
「本を語る、人と繋がる」をテーマに札幌ゼロ読書会の運営をしています。
また、ブログ、SNSやポッドキャスト等の発信活動を通して、本の魅力や読書の素晴らしさを伝えています。
今回紹介する本は、小野寺史宜『ひと』(祥伝社文庫)です。
以前、読書会で『ライフ』(ポプラ文庫)を紹介いただき読みました。
『ライフ』を読んだらぜひ『ひと』もということで手に取りました。
二十歳の柏木聖輔が物語の主人公です。
高校生のときに父親を自動車事故で亡くしており、唯一の肉親であった母親も突然死で亡くし、天涯孤独となってしまいました。
そのような状況で大学には通うことができないと中退しました。
ある日、商店街にあるお惣菜屋さんに行きました。
お婆さんに先に順番を譲ったことで50円のコロッケを食べることはできませんでした。
しかし、それが縁となりメンチカツを心意気で買うことができ、その味に惚れ込みました。
アルバイト募集の張り紙が貼ってあったことからお願いをし、このお惣菜屋さん「おかずの田野倉」で働くことになります。
そこから人の縁がどんどん繋がっていきます。
おかずの田野倉で働く人たちはもちろんのこと、かつてバンドをやっていた大学のときの仲間や高校時代の同級生であった青葉と再会することになります。
なかにはあまりほしくない縁というのもあります。
母親は鳥取に住んでいました。
葬式の世話をしてくれた親戚というのが理由をつけて、お金をせびろうとしてきた者もいました。
そういうところでの立ち回りというのは人間関係を考えて行くうえで大切だと思いました。
頼れる家族がなくなり孤独となった聖輔はなんでもひとりで解決をしようとします。
諦めなければいけないことと割り切っているところもあります。
人というのもそもそも一人で生きていくことができない社会性をもった生き物です。
一人で強く生きることも大切ですが、時として誰かに助けを求めたり、人の顔を気にせずに言いたいことをはっきりということも大切なことだと感じました。
印象に残ったところを紹介します。
大切なのはものじゃない。
形がない何かでもない。
人だ。
人材に代わりはいても、人に代わりはいない。
小野寺史宜『ひと』(祥伝社文庫)(p323)
会社といった組織では代わりが利くように調整をしていくべきだと思います。
個人の側からみると代えがない存在を目指していくほうが価値のある人間になることができるように思います。
それは身近な人間関係においても言えることなのだと改めて感じました。