書き手の視点で本を眺めるように

今回ご紹介する本は、エリン・M・プッシュマン(中田勝猛 訳)『創作者のための読書術』(フィルムアート社)です。

YouTubeの「本チャンネル」で紹介されており、興味をもち購入しました。

読める人が書ける人とは限りませんが、書ける人は読める人だと思っています。

名だたる文学賞の選考委員は作家さんが務めていることが多いのもそういうことだと思っています。

ということは書く人すなわち創作者の方々がどのような視点で読んでいるのかを知ることができれば、作品への理解も深まるのではないかと思いました。

 

10個の観点から解説がされています。

実際の文章を取り上げて読みながら理解を深めていくことができます。

同じ作品が何度も複数の視点で眺めるのも特徴になっています。

その都度、再掲されています。

これは多角的に物語を味わうトレーニングにもなっているのかなと感じました。

 

近年ではデジタルデバイスの発達により、ブログやSNSでも文学と扱われるものが多くあります。

そういったものにまで対象の範囲を広げているのが特徴でした。

文学ひとつをとってもジャンルは様々あります。

特に短い文章の場合、何かのジャンルでくくったり、狭いものに縛りつける必要性はないのかなと思いました。

 

比較的最近に書かれた本ということもあって引用されている文章のほとんどが未邦訳のものでした。

訳者である中田さんがひとつひとつ翻訳されたとのことでした。

それでも読むときに大切にするポイントは変わりませんので、時折振り返りながら文学作品を味わうときの参考にします。

創作者のためのとありますが、読む視点を得ることには変わりません。

ジャンルを問わなければ、読書感想文もエッセイの範疇であります。

ちょっと物語の語り手や視点を変えればより文学的なものにつながっていく可能性があります。

そういう意味でも読んで損はないんじゃないかと思います。

 

「最後に」でこのように書かれています。

作家のように読む人は、文学コミュニティという船の乗務員になる、ということだ。

エリン・M・プッシュマン(中田勝猛 訳)『創作者のための読書術』(フィルムアート社)(350頁)

読者なしに作品が成り立つことはありません。

読んだ本を発信することによって盛り上がりに加担することができます。

そうすることで文学コミュニティは広がりを見せていくのだと思います。

読んだ本のアウトプットをすることで記憶への定着が増すのを感じています。

その第一歩として読む視点を手に入れるのは大切なことだと思います。

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