人生の指針をスマホの地図のように

高校生の頃は山岳部に所属をしていた。映画になるような激しい天候の中を山頂目指して登るということなく、顧問の先生の先導のもと近郊の山を中心に登っていた。なので、遭難しそうという心配もなければ、事故の危険性もそこまで感じたことはなかった。

そのような山岳部にも高体連があり、山を登っていく上での知識や体力を点数化して競うというものがあった。その中の一つが現在地の把握である。ただいきなり地形図を見てもすぐにどこにいるかはわからない。なので事前に登山道や等高線の目立つところに印をしておく。普段の山登りの際でも練習のため休憩地点ごとに今自分たちがどこにいるのか把握をするということをしていた。入部した当初はなかなか難しかったものの、慣れてくると高度計といった数値だけでなく、地形の特徴や進んできた道の特徴からすぐに今いるいる場所がわかるようになっていった。週末の山行も高体連の大会のときも嵐の中、山頂を目指すというスリリングな経験はほとんどなかった。それでもどこにいるかがわからなくなってしまってはいけない、自分がどこにいるのかを理解することを他人に投げてはいけないと感じた。その現在地の把握というものには緊張感と冷静さを持った中での行動のための練習でもあったと振り返ると思う。

高校を卒業してからは山に登る機会というのはほとんどなくなってしまった。それでも山岳部では色々なことを学んだことを思い出す。それは単なるキャンプ術や登山技術だけでなく、この「現在地を把握」するというのは、人生という観点において、重要であり忘れてはいけない大切なことだと思っている。

まずは、どこに行きたいのかをはっきりさせなければいけない。それはもちろん大事なことだが次に大事なのは今どこにいるかということだ。目標に対してどれくらいの距離感があるのかわからないとどれくらいの努力をしたら良いのかもわからない。

具体的な目標に向かっていく場合は比較的わかりやすいのかもしれない。難しいのはどう生きるのかといった人生の指針となるべきことを考えるときである。「今年の目標」を年始に定めても、それを年末まで覚えていて振り返ることができる人はどれくらいいるのだろうか? 人間である以上言葉を通して考えていくが、それを覚えておくこと、指針としてずっと覚えておくことはなかなか難しいだろう。

また指針となることは一度決めたらそれをずっと守っていけばいいということではないだろう。山の地形図であればそうそう大きな変更はないが、街中の地図だと古いものでは役に立たないことがある。それは目印にしていたお店が変わってしまう場合もあるし、新たな道がつくられるという場合もある。周りが変化をしていく中で自分だけがそのままというのはある意味でどんどん取り残されてしまうことに繋がりかねない。
ではどうすればいいかというと自分の人生の指針も変化させていけばいいのである。スマホの地図はどんどんアップデートされて使いやすくなっていく。必ず変わらなければいけない訳ではない。それでも周りの変化に合わせて指針を変化させてもいいと柔軟に構えておくことが大切だと思う。

指針のアップデートには、多くの言葉に触れることが大切だ。人間は言葉で思考する生き物である。言葉に触れる数が少ないとそれだけ思考が凝り固まってしまうのではないかと思う。本をはじめとする多くの言葉に触れることによって新たな知見を手に入れることができる。そうすることで自分の考えがより明確になりより良い人生につながっていくのではないかと思う。
例えば、日々の生活のなかで定期的に自分の目標や進捗を見直す時間を設けるだけでも、指針がしっかりとアップデートされ、迷うことが少なくなるだろう。

スマホの地図が定期的にアップデートされるように、我々の人生の指針も新たな知識や経験で更新されていくべきだ。そうすることで、人生の目的地に向けた道が、より明確に見えてくるはずだ。

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山崎ナオコーラ『美しい距離』(文春文庫)

荒木健太郎『読み終えた瞬間、空が美しく見える気象のはなし』(ダイヤモンド社)

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