幸村しゅう『私のカレーを食べてください』(小学館)

こんにちは、読書セラピストの井田祥吾(@shogogo0301)です。

「本を語る、人と繋がる」をテーマに札幌ゼロ読書会の運営をしています。

また、ブログ、SNSやポッドキャスト等の発信活動を通して、本の魅力や読書の素晴らしさを伝えています。

 

今回紹介する本は、幸村しゅうさんの『私のカレーを食べてください』(小学館)です。

第2回「日本おいしい小説大賞」大賞受賞作品です。

著者の幸村しゅうさんの作品を読むのは初めてです。

 

物語の主人公は成美という少女です。

両親が離婚し、祖母の元で育てられますが、認知症の症状が出て、施設で暮らすことになります。

その前に担任の先生の家でご馳走になったカレーがずっと頭から離れることはありませんでした。

施設では厨房のお手伝いに入ることもあり、高校卒業後は調理専門学校へと進みました。

あらゆるカレーのお店を周り理想を求めて、研究を重ねます。

ある日、「麝香猫」という喫茶店で本格的なスパイスカレーに出合います。

それからその店に足繁く通うようになり、バイトとして雇ってもらえることになりました。

しかし、あるときマスターが事故に遇い入院をしてしまいます。

と物語は進んでいきます。

喫茶店の名前の読みは「ジャコウネコ」です。

コーヒーの果実をジャコウ猫を食べさせて、消化されずにのこったものを焙煎して飲む話を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。

 

主人公の成美は担任の先生が作ってくれたカレーを追い求めていました。

その過程で様々な人との出会いがありました。

施設の厨房で教わったことや、口は悪くても助言をしてくれた弁護士、喫茶店のマスターやそのパートナーさん。

良くしてくれた人もいる一方でうまくいかなかった人間関係もありました。

ただ、それは進んでいくためには必要なことだったのかもしれません。

理想を求めていくことは大切ですが、その思いを貫くだけではどうにもいかないこともあります。

そういうときには誰かを頼ること、相談することが大切だと感じました。

その中にはもちろん自分自身という存在があってもいいと思います。

ただ、悩んでも進んでいると感じられないときは、思い悩みすぎることなく、手を差し伸べてもらうのがいいと思いました。

 

印象に残った言葉を紹介します。

「良い客の三原則。暇な時来る、話をしない、引き際がいい」

幸村しゅう『私のカレーを食べてください』(小学館)(p61)

喫茶店のマスターの言葉です。

客の立場であってもお店が空いているときに訪れたいものです。

そうすればお店本来の味を感じられるでしょう。

お店にはお店でやることがあるでしょうから、こちらからは無理にお話をしない。

何を目的に来たかにもよりますが、必要以上に長居をしない。

飲食に関してはお客の立場しか経験することがないので大切にしようと思いました。

 

成美の葛藤をしながらの成長を感じられました。

タイトルの「私」は成美のことだろうと想像できますが、誰に対して向けられた言葉なのかは最後まで読んで楽しんでいただけたらと思います。

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