それだけのことが特別になる

今回ご紹介する本は、恩田陸さんの『夜のピクニック』(新潮文庫)です。

YouTubeで映画が無料配信しているとの情報をキャッチして観ました。

その流れで原作を再読しました。

 

恩田陸さんの出身校の歩行祭というイベントが元になっているそうです。

朝から夜通しをかけて80km歩くというイベントです。

途中まではクラス単位で歩いており、お友達とおしゃべりをしながらと和気あいあいとした雰囲気で進んでいきます。

そんな中、甲田貴子は高校生活最後となるこの行事で小さな賭けをすることを胸にしまっていました。

その賭けの対象となるのが同じクラスの西脇融でした。

お互いが気になっているんじゃないかと噂されるような間柄ですが、彼らにしか言えない秘密が絡んでいました。

 

歩行祭自体は毎年の恒例行事ですが、毎年コースが違うとので味わう感覚も異なることでしょう。

また貴子たちのクラスにいた杏奈がアメリカに戻ってしまっていたのでいないという違いもあります。

歩行祭の前に彼女からもらった手紙に不可解なところがあり、これも物語のキーになっていきます。

 

杏奈が言っていたという言葉が印象的です。

みんなで、夜歩く。ただそれだけのことがどうしてこんなに特別なんだろう。

恩田陸『夜のピクニック』(新潮文庫)(416頁)

微妙な表記は変わりますが、何度か登場します。

杏奈は最後の歩行祭はみんなと歩けませんでしたが、心は一緒だったのかなと思います。

 

私もそれなりの学生生活を行ってきました。

もちろん学校行事にも積極的に参加をしてきたつもりです。

学生生活を離れてからもいまだに思い出すこともあります。

でもそれは単に行事があったからではないと思うのです。

それまで同じクラスの中で過ごしてきた時間がそういう行事といった出来事を通して思い出を作っていくのだと思います。

 

この歩行祭でも当然ながら80km歩き切ることを目標にしているわけですが、その中で交わされるやり取りが印象的です。

こういうときだからこそ、思い切ってとることができる行動というものがあります。

貴子は小さな賭けをもってこの歩行祭に挑みました。

それに対して手紙でおまじないをかけておいたという杏奈の存在もありました。

貴子の周りのクラスメイトとのやりとりも含めて話が進んでいきます。

こういう要約で漏れてしまうところに小説の醍醐味があるのかなと思います。

 

今は過ぎれば過去になります。

過去の出来事を変えることはできません。

ならば今できる選択を最善にしていくことが大切かなと思います。

読書会情報

読書会の情報は お知らせ をご覧ください。

募集の案内はLINEでも行っています。

月初に読書会情報を配信しています。

申し込みはLINEからお待ちしています。



LINEの友だち検索「@pgc8174h」でも出てきます。

LINE オープンチャットへのご参加はこちらからどうぞ!

ポッドキャストでも本の紹介をしています

書いている人


写真をもっと好きになりたい

自分の道を進んでいく

関連記事

  1. 川村元気『億男』を読んで、お金と幸せについて考え…

    第68回「本の話をしよう」で紹介した一冊は、川村元気さんの『億男』です。…

  2. 小川洋子『博士の愛した数式』から学ぶ数学のロマン…

    私の自己紹介ページには過去の読書会で紹介した本をあげています。読書会が軌…

  3. 頭やお金よりも大切なこと

    今回紹介する本は、ダニエル・キイスさん(小尾芙佐さん訳)『アルジャーノンに花…

  4. 吉田修一『静かな爆弾』(中公文庫)

    こんにちは、読書セラピストの井田祥吾(@shogogo0301)です。「…

  5. コナン=ドイル/作 日暮まさみち/訳 若菜等+K…

    小学生の頃に買った積読本を消化しました。今回紹介する本は、コナン=ドイル…

  6. 学校で学ぶのは勉強だけじゃない

    今回ご紹介する本は、山田詠美さんの『ぼくは勉強ができない』(新潮文庫)です。…

  7. 夜の底が白くなった。

    今回取り上げる本は、川端康成『雪国』(新潮文庫)です。古典と呼ばれる作品…

  8. 伊坂幸太郎『楽園の楽園』(中央公論新社)

    こんにちは、読書セラピストの井田祥吾(@shogogo0301)と申します。…

PAGE TOP