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今回紹介する本は、原田ひ香さんの『古本食堂』(ハルキ文庫)です。
旅先では可能な限り本屋さんに立ち寄るようにしています。
普段、我が街の本屋さんに通っていても、場所が変われば本屋さんには新たな発見があります。
2023年末に東京都神田の神保町に行きました。
神保町は、言わずと知れた本屋街です。
御書印巡りをしようと、お目当ての本屋さんはいくつもありました。
しかし、年末というタイミングもあり、やっていたお店が少なかったです。
まわれた本屋さんのなかで選んだ本が、原田ひ香さんの『古本食堂』(ハルキ文庫)でした。
舞台がちょうど神保町というところも決め手になりました。
急逝した兄の古書店とビルを相続することになった鷹島珊瑚と親戚で国文科の大学院生の美希喜(みきき)が物語の主人公です。
珊瑚さんには書店経営の経験はなく、手探り状態で始まります。
とても人情深い人物で、本を買いにきた人の話を聞くだけでなく、お茶を出したり時には食べ物までシェアをします。
食べ物を提供するとか、本を食べ物のように出すから「古本食堂」というわけではありません。
とは言いつつも美味しそうな描写が数多くありました。
中には実在するお店もあり、私が前回神保町に訪れた際に食べたカレーのお店の「ボンディ」が載っていました。
ボンディは確かビルの2階にあったと思いますが、この時にも行こうとしましたが、長蛇の列でビルの一階の外まで伸びていました。
前回のときに結構回転がはやいことを学習していましたが、今回はあまりの長さに断念しました。
またの機会に楽しみにしようと思います。
たくさんの食べ物が出てくるから、このタイトルというわけではありません。
タイトルの由来はしっかりと記されていますので気になる方は、ぜひ、読んで確認をしてみてください。
書店経営をすることになった珊瑚さんの手伝いをすることになった美希喜も物語のキーパーソンです。
大学院生の美希喜は進路に悩みます。
このままの進路で職があるのか悩んだことがある方もいらっしゃるかもしれません。
古書店を手伝うようになって、大学院生としての本分である論文作成や授業にも影響が出てしまいます。
大叔父が生前の頃、本が好きだったのでお店にも顔を出していました。
しかし、大叔父の遺言に自分の名前がなく、疑問を感じるところがありました。
ひょんなことから一冊の本が贈られていることがわかり大叔父の想いがわかっていきます。
誰かにお願いしたり、想いを託すときには相手に逃げ道をつくって断りやすくしたり、重荷に感じさせない工夫が大切なのだと思いました。
心に残った一文を紹介します。
「人生に必要な小説や本って、向こうからやってくるのかもしれませんね」
原田ひ香『古本食堂』(ハルキ文庫)(p247)
これはわたしもその通りだと思います。
読むべき本というのは、本屋さんで見つけると自然と手が伸びていくものです。
直感を大切にこれからも本を手に取り、読み進めていきたいです。