出合った言葉をお守りにする

尊敬するエッセイストである松浦弥太郎さんの本を読みました。

今回読んだのは、『正直』(河出文庫)です。

 

松浦さんが49歳のときに「暮らしの手帖」の編集長を辞することにしたときに決意を込められて書かれたものです。

以前、オンラインイベントに参加したときに「新たな境地に進むときには後ろの扉を閉じる」という話をされていました。

なにか新しいことに挑戦しようというときには後ろの扉を閉じてから先に進むようにするように、と教わり実践しているとのことでした。

まさに「暮らしの編集長」を辞するというのは後ろの扉を閉じる行為ではないかと今読んでみると思いました。

器用な人なら並行しながら進めていくこともできるでしょう。

それをあえてしなかったところに人間性も表れているように思います。

 

年齢を重ねると人の考えは変わるでしょうし、過去の文章と印象が変わることも多いにあります。

松浦さんの文章にはそれらを感じることはありません。

きっとご本人が大切にされている核の部分を書かれているからなのかなと思います。

 

印象に残ったところを紹介します。

生涯お守りにできる言葉に巡り合い、抱きしめていられるのは、しあわせなことだと感じている。

松浦弥太郎『正直』(河出文庫)(p43)

とありました。

素敵な言葉に出合うことができるのが本を読む一番の喜びだとわたしは思っています。

それらは形を変えることなく、ずっとそのままでいてくれます。

わたしは心に残った言葉を手帳に書き残しています。

折に触れて読むことで自分の大切にしたい価値観を思い出すことができます。

 

どうしたら成功しているか?  を考え抜いた松浦さんの答えは、

「成功している人は、人を助けている。売れているものは、人を助けている。人を助け、役に立つもの。つまり、人の抱えている問題や不便を解決するものが、支持され、売れるのではないでしょうか」

松浦弥太郎『正直』(河出文庫)(p93)

と答えています。

「役に立つ」は物理的であり、「助ける」は心理的なものと補足しています。

この視点はお金にならないものに対しても重要な観点だと思いました。

 

松浦さんの本について書かれたところも印象的でした。

僕にとって本は大切なもので、読書とは限りなく素直になる体験でもある。なぜなら、人の物語に素直に耳を傾けるという、極上の経験だからだ。

本を読む時はひたすら受け身になって、著者の主張をそのまま受け入れる。

松浦弥太郎『正直』(河出文庫)(p128)

とありました。

本を読むことは対話でありますが、こちらからの問いかけの答えを探すのも自分です。

それだけ内省を深めることもできるのかなと感じました。

 

松浦さんの決意のようなものを感じられるエッセイでした。

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