5秒に宿る生活の手触り

今回ご紹介するのは、古賀及子『5秒日記』(集英社)です。

 

古賀及子さんの本を続けて読みました。

日記は「一日のあらましをまとめるのではなく、ある5秒にぎゅっと注目する。200字かけてみっちり書く」と冒頭で述べられています。

その言葉どおり、短い日記の連載をまとめた一冊です。

 

自分の日記ですら見返すことがないのに、他人の日記を読んで教訓めいたものが得られるかといえば、必ずしもそうではないかもしれません。

でも、それが無駄な時間だったとは思いません。

むしろ、確かな手触りのある読書体験だったと感じています。

 

古賀さんのことは、オンラインイベントでお話しされているのを拝見したことがあるくらいです。

日記によく登場する息子さんや娘さんのことも、もちろん直接知っているわけではありません。

それでも、どこか親近感があります。

仮にお会いすることがあったとしても、「はじめまして」の強い緊張感はないのではないか、と想像してしまいます。

 

最近はZINEブームが広がり、とくにエッセイや日記本が取り上げられることが増えました。

文芸の中心はやはり小説だと思っていますが、日記やエッセイにはそこにはない魅力があります。

物語の起伏や構造とは別の、生活の粒立ちのようなものが、そのまま差し出されている感覚です。

 

私もほぼ日手帳にコツコツと日記を書いています。

それとは別にnoteに書くこともありますし、本に関する発信はブログで行っています。

続けていくことで、読んでくださる方の「はじめまして」の緊張感を少し和らげる効果もあるのかもしれません。

 

「日本は日記を文学にした国」という表現を聞いたことがあります。

海外では、日記は日々の記録として、たとえば航海で迷わないための記録のように、明確な目的を持つことが多かったそうです。

それに対して日本では、日々感じたことまでも含めて記録してきました。

そのDNAが、いまも脈々と受け継がれているのかもしれません。

 

私も、日記ZINEをつくってみようかなと思います。

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