今回ご紹介する本は、水野仁輔さんの『幻の黒船カレーを追え』(小学館)です。
「カレーの人」水野仁輔さんの本を好んで読んでいます。
スパイスキットのAIR SPICEが毎月届くのを楽しみにしています。
本書は『カレーライスはどこから来たのか』(小学館文庫)で改題され文庫化もされています。
文庫本も所持していますが、この装丁がとても好きなので手元にしばらくないので再度単行本を購入して読みました。
日本のカレーの歴史は海軍にあると言われています。
それが発展していき、欧風カレーと今では呼ばれています。
その欧風カレーのルーツをめぐるノンフィクションです。
よく海軍カレーと言われますが、カレーを食べるのが習慣化されたのは実は海上自衛隊になってからのそうです。
思いこみを打破するのはなかなか大変ですよね。
明治維新によって開講された港を巡りますが、それらしきものに出合うことはありませんでした。
次にターゲットとなったのはイギリスでした。
なぜイギリスと思う方も多くいらっしゃるかと思います。
日本のカレーはインドから直接伝わってきたわけではありません。
インドのカレーがイギリスに伝わり、さらにそれが日本に伝わってきたとされています。
イギリスを父とするなら、インドは祖父である。
でも、その「父」のことがよくわかっていないという状況です。
その父となるイギリスのカレーを黒船カレーと水野さんは名付けました。
15年くらい後、子供が高校生になるくらいの時にイギリスに入って黒船カレーを探したいとポロッと奥様にこぼします。
15年後のイギリスにもあるのか問われて返答に困る水野さんに、
「そんなに探したいものがあるなら、いますぐ会社を辞めて、3か月くらい行ってきたらいいじゃない」
水野仁輔『幻の黒船カレーを追え』(小学館)(98頁)
とおっしゃったそうです。
それで水野さんは会社を辞め、イギリスに向かうことにします。
ちなみに奥様は発言後「しまった」と思いながら、嬉々とする水野さんを見て撤回を諦めたとのことでした。
イギリス滞在中もヒントを得ながら求めていきますが、黒船カレー探しは難航していきます。
その中で思い出したというお父様の
「目的のための手段におぼれるな」
水野仁輔『幻の黒船カレーを追え』(小学館)(211頁)
というのが印象的でした。
黒船カレーを探しに行って見つからなかったのであれば、その旅は無駄であったと認めなければいけないと戒めます。
私は「結果よりも過程」という言葉に懐疑的です。
それが仕事であるならばなおさらです。
頑張りを評価されるのであればそれを否定することはしませんが、結果が出ていないのに頑張りを認めてくださいというのは違うのではないかと思います。
一度は帰国した後ですが、ヒントをもらいまたイギリスへ渡っていくところで発見を得ますので、ぜひこちらは読んで確認いただきたいところです。
日本のカレーの進化はすごいなぁと改めて感じました。
ルーツとなったイギリスの地でなかなか見つからなかったのも驚きです。
裏を返せばそれは独自の発展を遂げていったとも言えます。
その発展は今も続いていると思います。
私の住む札幌ではスープカレーがもはやご当地グルメとして定着しています。
スープカレーと区別をしてルーカレーと呼んだり、「ルーカレー専門店」をうたうお店があるほどです。
ご当地グルメとしてのカレーや町おこしとしても一役買っています。
こういった独自発展は島国特有のものなのかもしれませんね。
エピローグで先ほどのお父様の言葉を回顧します。
水野さんの人生の目的は
「カレーとは何か?」という問いに普遍的な答えを出したい。
水野仁輔『幻の黒船カレーを追え』(小学館)(267頁)
としていました。
旅と研究を通してカレーを追求していく水野さんの活動にこれからも注目していきたいと思います。















