岸見一郎『ゆっくり学ぶ』を読んで、学びの楽しさを考える。

今回ご紹介する本は、岸見一郎さんの『ゆっくり学ぶ』(集英社)です。

本棚を整理していたところ目にとまり再読をしました。

副題として「人生が変わる知の作り方」とあります。

 

学生の頃から机に向かってする勉強は割と苦痛に感じないタイプでした。

そのおかげもあって高校は進学校と呼ばれるところへ入学することができました。

高校での勉強はなんとか食らいつきながらやっていたものの、なかなか成績が向上せずに心が折れるような感覚を味わいました。

中学までの学習は新しい知識を手に入れるから楽しいという感覚が大きかったのかもしれません。

知らなかったことを知るというのは小さな頃から感じていた喜びだと思います。

読めなかった漢字が読めるようになるだけでも世界の謎がひとつ解明された気分になるものです。

それがだんだんと、そのテストはどれだけ点数を取ることができるのかという一種のゲームのような感覚になっていった気がします。

勉強を頑張るのは良い点数を取るためであり、行きたい高校に入るための手段となっていきます。

高校ではそれが大学に入るためと置き換わります。

高校を目指すときよりもそれは色濃くなり、何を学びたいかというよりも偏差値という数字でまじまじと現実を見せつけられます。

そのことがだんだんと苦痛になっていったのかもしれません。

大学を病気によりドロップアウトしても勉強そのものから離れることはありませんでした。

自動車免許を取るのも勉強が必要です。

就職に有利になるように資格試験の勉強もしました。

就職をしてからも専門知識の勉強を続けています。

考えてみるとこれからも勉強を止めることはないのだと思います。

それでも必要に迫られてやる勉強と本書で述べられる学びがどういうものであるかは考える必要があります。

 

学びというのは本来無目的でいいのだと本書を読んで改めて感じました。

学ぶこと本来が楽しさを感じられるものなのだと感じました。

社会人になって必要に迫られる勉強の量は減りました。

でも、本を通して新しいことを知ることができるのがとても好きです。

自分に合ったやり方で学んでいくことが人生を豊かにするのだと感じました。

 

私には洋書をすらすらと読めるようになりたいという夢があります。

実際に読みたい本として購入しているものもあります。

今の時代では翻訳されているものも多々あります。

翻訳機能を使えば事足りる場合もあります。

では私がやろうとしていること、英語を勉強していることに意味はないのでしょうか?

私はそのようなことはないと思っています。

実際に意味がないと呼べるくらいのコミュニケーションツールが発明される可能性もあります。

でも学びというのは学んだ瞬間にすぐに役に立つものでなくてもいいと感じました。

いつか役に立つかを考える必要もなく、学ぶときに意義を感じることができれば無目的でも十分だと感じました。

 

もちろんその学びの時間がわくわくしないのであれば別のことに時間を使ったほうがいいと思います。

それがわくわくするものであれば、何かに結びつくかどうかを考えずに楽しんで学んでいいはずです。

 

これまでどれだけの本を読んできたかは正直わかりません。

数千冊と答えるくらいです。

もちろんこれまで読んできた本の内容を全て覚えているわけではありません。

では、内容を忘れてしまった本に意味がないかといえばそのようなことはありません。

どこかで何かをきっかけに思い出したり、理解をしたりすることが実際にあります。

 

〇〇の一冊を教えてくださいと言われることもあります。

でもそれは、その一冊だけで成り立っているわけではありません。

これまでの読書を含めた人生経験すべての上に載せられた一冊ということになります。

その本だけを読めば同じような感覚になるわけではないというのが本の魅力でもあります。

 

何かにつなげなければとは考えようとせずにこれからも興味赴くままに学び続けていこうと思います。

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中田潤『新庄くんは、アホじゃない!』(飛鳥新社)で、新庄氏の魅力を考えた。

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