今回紹介する本は、芥川龍之介『奉教人の死』(新潮文庫)です。
古典を読む重要性については、色々なところで語られています。
時代の波を乗り越えて、今まで残ってきたからには何かしらの理由があります。
積極的に読みたいとは思いつつ、いつでも読めるからこそついつい後回しになってしまいます。
馴染みのある作家さんから読んでいこうと思い、手にとっているのが芥川龍之介です。
芥川龍之介は誕生日が1892年3月1日です。
私の誕生日のちょうど100年前なのです。
同じような精神疾患を抱えて、『歯車』を読んだときは強い親近感を感じました。
短編作品を多く残しているのでとっつきやすいかなと感じたのも手に取ったきっかけです。
新潮文庫の『文豪ナビ 芥川龍之介』を読んだことから新潮文庫で読んでいます。
今作の表題作になっている「奉教人」とはキリスト教信仰者を指します。
現在では使われていない言葉です。
宗教が絡むと、それに対する理解がないとなかなか難しいところもあると感じました。
これは今後の課題としたいと思います。
特に印象に残った作品は『煙草と悪魔』でした。
煙草が日本にやってきた伝説のお話です。
もともと日本には煙草はありませんでした。
日本にやってきた宣教師のひとりに悪魔は化けてやってきます。
日本に来たばかりでやることがなく、暇を潰すことにして植物を育てることにしました。
そこで牛商人に畑に生えているものを当てたらこれを与えると言います。
3日間経ち当たらなかった場合は、「あなたの体と魂とを、貰いますよ。」と言い立ち去ります。
困ったのは牛商人です。
どのような結末を迎えるかはぜひ読んでみてください。
結末のところで印象に残ったところがあります。
誘惑に勝ったと思う時にも、人間は存外、負けている事がありはしないだろうか。
芥川龍之介『奉教人の死』(新潮文庫)(p19)
結果として煙草は今でも日本中で吸われています。
何をもって成功か失敗かというのはわからないものです。
それは手段と目的にも置き換えることができます。
意中の人の心をつかむためにやせようと思ってやせたところで願いが叶うかはわかりません。
むしろ別のアプローチが必要だった、なんてこともあるかもしれません。
そんなことを考えながら読みました。













