今回ご紹介するのは、青木聖奈『食べるのそんなに好きでないけど』です。
2025年の文学フリマ札幌で、青木さんの『選んで無職日記』を直接購入しました。
文章のリズムや物事を捉える視点に惹かれ、印象に残っていた一冊です。
新刊が出たと知り、購入しました。
世の中には食に関する情報があふれています。
ガイドブックや食エッセイ、個人のSNS発信まで、その形はさまざまです。
仕事として取り組んでいる人もいれば、純粋に好きで続けている人もいます。
そのどれもを否定するつもりはありません。
ただ、すべての人が食に強い関心を持っているわけではない、という視点はあまり語られてこなかったように思います。
青木さんは、食べ物に特別なこだわりはないと語っています。
観光地であってもコンビニの食事で済ませることに抵抗がなく、かつてクラシックバレエを続け、体重管理が求められる生活をしていた経験も、その背景として書かれています。
たくさん食べられないからこそ、好きなものでお腹を満たしたい。
その感覚に結びついた食べ物が、淡々と紹介されていきます。
食に関する本の多くは、写真映えする料理が取り上げられがちです。
しかし、昔から慣れ親しんだ味や、なぜか忘れられない食べ物は、案外地味なものだったりします。
子どもの頃に食べた駄菓子の記憶が今でも残っているように、小さな食体験が、知らず知らずのうちに今の自分を形づくっているのだと感じました。
社会人になってからのエピソードでは、「どこで何を食べたか」以上に、「その場に結びつく出来事」が印象に残ります。
誰と食べるかは、味そのもの以上に大切な要素のひとつなのだと、あらためて思わされました。
自分自身を振り返ると、「食べることは好きだけれど、何を食べるかはあまり気にしない」タイプだと思います。
外食ではカレーを選ぶことが多く、値上がりを感じつつも、だいたい1500円くらいだろうと考えながら食べています。
毎食を充実させなければならない、という意識はあまりなく、カップラーメンも素直においしいと感じます。
おいしさを感じる基準は、低いくらいでちょうどいいのかもしれません。
また、おいしいお店を100軒知っていることよりも、同じ店に100回通い、その魅力を語れることのほうが大切だと思っています。
この考え方は、外食に限らず、身近な人が作ってくれる料理に対しても忘れずにいたいところです。
本書を読んで、ひとつ気をつけようと思ったことがあります。
それは、「〇〇を食べられないのは損をしている」という言い方をしない、ということです。
その人には、その人なりの事情や理由があるはずです。
好きな側の価値観を無自覚に押しつけることは、時に暴力に近いものになりかねません。
今回もサクッと読むことができる一冊でした。
まだ手に取っていない青木さんの作品も、少しずつ読んでいけたらと思います。















