『詩を書くってどんなこと?』表現の手段としての詩を考える。

今回ご紹介する本は、若松英輔さんの『詩を書くってどんなこと?』(平凡社)です。

副題として「こころの声を言葉にする」とあります。

詩に興味を持ちはじめたので理解を深めたいと思い、円錐書店で購入しました。

 

著者の若松英輔さんは批評家・随筆家として活躍されています。

「中学生の質問箱」シリーズのひとつとして質問に答える形式で話が進められています。

結論としては自分の気持ちを表現する手法のひとつとして詩を書いてみてはいかが? という印象を受けました。

 

詩より普通のエッセイや随筆のような文章のほうが伝わりやすいんじゃないかという人もいるかもしれません。

私もこれまで詩を書いてきたことはありませんでしたので、そう考えていました。

でもよくよく考えてみると「普通に」書いたから伝わりやすいとは限らないのです。

むしろ自分の心を表現するのにぴったりな言葉を使うことで伝わりやすい感情もあるのではないかと思います。

その言葉の解釈を相手に委ねるということです。

 

気持ちを伝えるという点で一番身近なものは手紙だと思います。

手紙は特定の誰かに向けてのみ書かれるというのが特徴です。

文章術の本にも特定の人物を思い描いて書いてみましょう、というのをよく目にします。

私が思うに実際に特定の人物を思い描くことができるなら、その人に向けて書いたほうがよっぽどいいトレーニングになると思っています。

そこには省略される言葉もあるでしょうし、二人の間だからこその信頼関係のうえに成り立つ文章というものがあるはずです。

 

何より手紙というのが詩の始まりと捉えるという考え方が面白いなと思いました。

確かに手紙ほど言葉を選ぶ作業をすることはありません。

直接的な表現を避けたうえで自分の気持ちを伝えるのは詩そのものなのかなと思いました。

 

「これが詩だ」と明確な基準があるわけではないからこそ、むずかしく感じてしまうのかもしれません。

そういう言葉の表現の仕方もあるのだと知っておくことで幅を広げることができると感じました。

 

本書を読んで詩を書くことにチャレンジしてみたいと思いました。

今の自分が思い浮かぶことをつらつらと書いていくところから始めてみようと思います。

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