今回ご紹介する本は、内沼晋太郎さんの『これからの本屋読本』(NHK出版)です。
著者の内沼晋太郎さんは、ブックコーディネーターとして活躍されています。
最近、Podcast番組『本の惑星』を始められたこと、そして私自身が棚貸し本屋「ぷらっとBOOK」の棚オーナーになったことをきっかけに、再読しようと思い手に取りました。
本書は、そもそも「本とは何か?」という定義づけから始まります。
文学フリマのにぎわいを見ていると、必ずしも商業出版されたものだけが「本」とは言えなさそうですし、電子媒体で読むものも増えています。
そのような中で、本書では「問いを立てる力を養うもの」という本の定義が示されています。
初版が出た2018年当時は、現在ほど生成AI技術が発展していませんでした。
そのため、この定義に対して当時は正直ピンときませんでした。
しかし、現在ではAIに膨大なデータを学習させ、対話を通じて本に関する知識を得ることができます。
わからないことは質問すれば答えてもらえますが、そもそも「知らないこと」については質問すら思い浮かばないため、聞くことができません。
「問いを立てる力」とは、まさにこの「聞くことができる力」と結びついているのだと、本書を読みながら改めて考えました。
棚貸し本屋ぷらっとBOOKのオーナーとしてスタートし、コンセプトを考えました。
長い目で見れば、私が読んだ本に興味を持ってもらい、ファンを作ることが目的になるのだと思います。
「要らなくなったから売ればいい」ではなく、「本当に良かったと思える本」を誠意を込めて棚に並べたいと思います。
とはいえ、あまりプレッシャーを感じる必要はないとも思います。
印象に残った一節を紹介します。
最初から素晴らしい本屋というのは、実はあまりない。最初が一番で、あとは衰えていくとしたら、それは単に努力を怠っているだけだ。
内沼晋太郎『これからの本屋読本』(NHK出版)(p197)
実際にやっていく中で改善を重ね、自分なりの理想形を見つけていきたいです。
興味のある方は、ぜひ棚貸し本屋「ぷらっとBOOK」の棚番号10を覗きに来てください。
お待ちしております。