今回ご紹介する本は、内村鑑三の『後世への最大遺物 デンマルク国の話』(岩波文庫)です。
月一で出演しているYouTube「フジモトのカクロン」でお世話になっている藤本さんに紹介されて読みました。
藤本さんは大学院受験を中心に塾を経営されています。
私は読書会を主催しています。
それをこれからどうしていきたいかという話になりました。
私が、死んだときにお金を残してもしょうがないですし、読書会を誰かに引き継いでほしいとかもないんですよね、と話しました。
そのなかで何代か後の人たちにあんな人もいたなと思ってもらえたらと思いますと伝えたところ内村鑑三と同じですねと話題になりました。
内村鑑三が明治時代に行った講演が元にされています。
人はいずれ死にます。
そのなかで何を遺すべきかを考えるとまずは金銭が思い浮かべます。
次にそのお金を使った事業があります。
著述をすることによって思想を遺すこともできます。
しかし、それらが誰にでもできるかというと難しいところがあります。
ある程度の才能も必要です。
そこで出てくるものを引用します。
それならば最大遺物とは何であるか。私が考えてみますに人間が後世に遺すことのできる、そうしてこれは誰にも遺すことのできるところの遺物で、利益ばかりあって害のない遺物がある。それは何であるかならば勇ましい高尚な生涯であると思います。
内村鑑三『後世への最大遺物 デンマルク国の話』(岩波文庫)(p58)
とあります。
その例として二宮金次郎が挙げられていました。
お金や事業を遺すことができなくても、何を考えてどう行動してきたかを遺すことはできます。
誰にもできるからこそ、誰もがやることではありません。
私は本が好きで大きな影響を受けてきました。
今回読んだこちらの本も明治時代の講演です。
それだけ時代を経て残っているわけです。
人生100年だとしてもまだまだ半分もいっていません。
しかしいつ幕が閉じるのかわからないのも人生であります。
あの人はあんな人だったなと少しでも思ってもらえるような生涯を送れたらと思います。