渋沢秀雄『散歩人生』(電波新聞社)

今回紹介する本は、渋沢秀雄さんの『散歩人生』(電波新聞社)です。

2022年12月に東京中目黒にあるセレクトブックストアCOW BOOKSに行きました。

そちらで購入したうちの一冊になります。

箱に入っており、装丁もしっかりとしている本です。

昭和50年初版となっていますが、保存状態がとてもよかったです。

 

著者の渋沢秀雄さんは新一万円札の肖像となる渋沢栄一氏の四男です。

購入するまで知りませんでした。

プロフィールには随筆のほか、絵画、俳句などに造詣が深いとあり、この本の中でもその特徴は表れていました。

明治から大正、昭和と生きてきた方です。

文章に読みやすさや古さを感じることはありませんでした。

それでもって色々な気づきを得ることができました。

タイトルの「散歩人生」にあるように悠々と人生を楽しまれていた方なのかなと想像をしました。

 

印象に残ったところを紹介します。

「日記は必ずその日のうちに記せ。必ず中断する事勿れ。日記をさえ続け記し難き薄志の人、よく何事か為し得む」

渋沢秀雄『散歩人生』(電波新聞社)(p23)

「文章日記」という日記帳で、日記の重要性を強調する文章の後に教訓的な言葉を載せたうちのひとつだそうです。

ちなみに渋沢氏は4月14日を最後に自らが「薄志の人」に急変したというオチがあります。

 

興味本位に読んだ本でも、心に残るものを与えてくれた本は、後年再読すると面白い。

最初に読んだとき感激した一節がそれほどでなくなったり、最初はあまり感銘を受けなかった一節が胸を打ったりする。

つまり自分の人間的成長と、本の持つ奥行きや幅の広さの絡み合いが、年月と共に変化してゆくのである。

渋沢秀雄『散歩人生』(電波新聞社)(p53)

少し長い引用となりました。

わたしは本を読むときにしるしをつけています。

角を折ったり、線を引いたりすることもあれば、今回のように付箋紙を貼るだけのこともあります。

これはいつかやってくるかもしれない再読のときのためです。

そのときに同じように感動することもあれば、あまり感じないこともあります。

前回何も感じなかったところが深く心に響くこともあります。

そういったことを感じるのは自分が何かしらの変化をしているということであり、成長とも呼べるものです。

対人であると相手も変化をしています。

本はいつまでも同じ姿で待ち続けていてくれます。

そういう懐の深さも本の魅力なのかなと思います。

 

立派な文章を残しておこうとは考えずに、気の向くままに書いていくのもきっと楽しく意味のあることなのだと感じました。

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